理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EO406
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成人中枢神経疾患
脳卒中片麻痺患者の屋内自立歩行獲得に影響を与える要因
*清水 健
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抄録
【はじめに】脳卒中患者の歩行能力に影響を及ぼす要因についての報告は多いが,歩行自立度の判別による検討は少なく,また各要因の寄与の度合いについては現状では明らかではない。そこで今回は屋内自立歩行の獲得に影響を与える要因について,入院時の諸因子をもとに,判別分析を用いて各要因の寄与の度合いを中心に検討した。【対象と方法】対象は平成10年11月から13年8月に当院に入院し3か月以上理学療法を実施した脳卒中片麻痺患者のうち,入院時に屋内自立歩行が不可能であった75名とした。運動麻痺が両側ともに認められなかった者,両側に運動麻痺を呈した者,協調運動障害を呈した者は除外した。入院時の年齢は57.6±8.9歳(37-76歳),性別は男性53名,女性22名,診断名はくも膜下出血5名,脳出血41名,脳梗塞29名,麻痺側は右43名,左32名,発症から入院までの期間は12.8±8.1週(2-40週)であった。対象者の年齢,性別,診断名,麻痺側,発症から入院までの期間(以下発症後期間),また入院時評価の結果から麻痺側のBrunnstrom stage(以下Br.stage),感覚障害の有無,体幹下肢運動年齢(以下MOA),肥満度,入院時歩行自立度,さらに入院から3か月経過時点の評価結果から屋内自立歩行の可否(以下3月後屋内歩行)について調査した。3月後屋内歩行を目的変数,その他の項目を説明変数とした判別分析を行い,変数選択による解析を中心に実施した。【結果】入院時評価の結果は,Br.stageはIIが19名,IIIが32名,IVが19名,Vが5名,感覚障害は有り45名,なし30名,MOAは14.5±7.6月(4-35.5月),肥満度は101.94±13.60(71.3-144.7),入院時歩行自立度は歩行不能18名,要監視57名であった。3月後屋内歩行は自立40名,非自立35名であった。F値2.0を目安とした変数選択により有用な変数として取り込まれたのはF値の高い順に麻痺側,入院時歩行自立度,年齢,MOA,診断名となり,誤判別率は2.90であった。F値1.0を目安とすると,さらに発症後期間が取り込まれ,誤判別率は2.76であった。F値2.0での変数取り込み後における選択されなかった変数のF値は,発症後期間が1.21,Br.stageが0.99,性別が0.75,感覚障害が0.07,肥満度が0.07であった。【考察】今回の解析においては,Br.stageと発症後期間の寄与の度合いは低く,また感覚障害,肥満度はほぼ寄与しない結果となった。3か月以上の理学療法実施という対象の制限により軽症例が除外される傾向がみられ,これがBr.stageや発症後期間の寄与の低下に関係していると考えられる。そのため今回の結果は全片麻痺患者に適用できるものではない。しかし,運動麻痺の重症度や発症後の経過期間を歩行能力に影響を与える主要因と位置づける従来の予後予測と比較すると,今回の検討における対象の偏りを考慮しても,ある程度長期間の継続治療が実施可能な例においては,運動麻痺や経過期間の歩行能力向上に対する影響は低くなることが推測された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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