理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EO832
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成人中枢神経疾患
心内血栓残存脳梗塞患者の急性期理学療法
心内血栓検出部位と脳梗塞再発との関連
*山田 浩二河島 英夫河波 恭弘
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抄録
【はじめに】 我々は心内血栓残存の有無によらず急性期心原性脳塞栓症(CES)患者の早期離床が安全に行えることを報告した(日本理学療法学術大会、2002)。今回、更なる安全性確立のため心内血栓検出部位と脳梗塞再発との関連について調査を実施した。【対象と方法】 2000年4月1日から2002年3月31日までに当院脳卒中センターに入院した発症7日以内の急性期脳梗塞患者連続1046例のうち、米国国立神経疾患脳卒中研究所の脳血管障害分類第3版でCESと診断された症例は359例であった。CES患者のうち理学療法を実施(359例中256例)し、かつ経食道心エコー検査(TEE)実施者(256例中209例)で心内血栓が検出された30例を対象とした。対象患者のTEE所見及び、脳梗塞再発の有無を入院診療録より後方視的に調査した。調査内容は血栓の検出部位、大きさ、形状、TEE再検時の血栓変化とした。血栓検出部位はAbeらの分類に基づき左心耳外、左心耳入口部、中央部、下方部に分類した。【結果】 脳梗塞再発は30例中1例(3.3%)に認めた。脳梗塞再発を認めた症例は左心耳入口部に11mm×12mmの浮遊血栓を認めた例であった。血栓検出部位は左心耳外2例、左心耳内28例であった。左心耳内血栓のうち分類に基づき同定できた血栓は入口部3例、中部6例、下部8例であり、他の血栓は2部位以上(入口部から中部2例、中部から下部6例、入口部から下部1例)に及んでいた。左心耳外の血栓は左心室心尖部、左心房側壁で検出した。血栓の最大径が確認できた13例中1.5cm以上の血栓は7例、他の6例は1.5cm以下であった。可動性血栓は4例で検出し、1例は可動性血栓と非可動性血栓を同時に有していた。可動性血栓例のうち脳梗塞を再発した1例の血栓は心拍に伴い変動を認める可動性の非常に高い血栓(浮遊血栓)であった。追跡検査時に10例の血栓消失、6例の血栓縮小が認められた。【考察】 今回の調査では理学療法及びTEE実施者の14.4%に残存心内血栓を認めた。Doiらは発症後4日以内のTEEで左心房内に可動性血栓を検出した2例が脳梗塞再発を来たしたと報告している。AbeらもTEE検査所見と塞栓症発症との関連で左房腔内、左心耳入口部血栓の危険性を報告している。我々は心内血栓の残存の有無に関わらず、急激な血圧、心拍変動に注意すれば安全に早期理学療法が実施可能であることを報告している。今回の調査で左心耳内に血栓が検出されたとしても可動性がないこと、左心耳入口部以外であることを確認すればさらに安全に早期離床が行えることが示唆された。ただし、理学療法実施中ではないが浮遊血栓例で再発を認めているため、浮遊血栓例は再発の危険性の高い血栓として慎重な離床の必要性がある。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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