理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EO833
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成人中枢神経疾患
早期離床の挿管期間の短縮に対する効果
リハビリテーション科発足前後での比較
*伊東 彰本橋 香子妻鹿 容子山田 かおり吉田 元博打川 真理子石田 善裕飯笹 恵理子梁原 佑子安達 亜紀高橋 紳一
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抄録
【はじめに】当院では2000年9月からリハビリテーション科(以下リハ科)を発足させ、脳卒中リハビリテーションの早期開始の充実を図ってきた。リハ科発足以前の訓練はベッドサイドでの関節可動域訓練から開始し、意識レベルが改善してから車椅子乗車へと進めていた。これに対しリハ科発足後には発症後vital signが安定していること、麻痺の進行の停止、JCS2桁になったことをリハ科医師が診断後、ベッドサイドでの車椅子座位をVital checkをしながら行い、20分可能となった時点で訓練室での訓練を開始するものである。今回、リハ科発足を境にして早期離床が挿管期間短縮に対して効果が認められたので報告する。【対象】調査対象は2002年3月から2002年6月まで当院に入院加療を行った脳神経外科疾患患者のリハビリテーション適応例のうち、気管内挿管例18例(女性8例、男性10例、平均年齢61.1±15.8歳)である。また、対照群はリハ科発足以前の2000年3月から2000年6月まで当院に入院加療を行った同条件の23例(女性12例、男性11例、平均年齢64.9±14.2歳)である。【方法】調査群および対照群において各症例の入院から車椅子座位開始までの日数、気管内挿管日数、在院日数を算出した。これらを統計的に処理し、比較・検討を行った。【結果】調査群、対照群の車椅子座位開始までの日数はそれぞれ11.2±7.2日、27.1±18.9日であった。気管内挿管日数は15.9±12.5日、24.2±20.3日であった。在院日数は、48.9±27.0日、62.7±27.8日であった。【考察】脳神経外科手術後、意識障害の遷延等により肺合併症が起こることが予測される為、気管内チューブが留置されることがある。この気管内チューブが抜去されるためには1)意識レベルの改善、2)自発呼吸の改善、3)低酸素状態の改善、4)換気不全の改善などがあげられる。今回、当院における脳外科患者に対するリハの内容の違いにより挿管日数・在院日数が短縮されることがわかった。リハ科が発足する以前では、ベッド上での姿勢は背臥位か半側臥位でいることが多く、気道分泌物や誤嚥した唾液等が肺に貯留し、呼吸機能の改善が図れずに離床が遅れ、起立・歩行訓練の遅延を招いていた。それに対し、リハ科発足後では患者の安全がリハ科医師により確認できた時点から車椅子座位を開始するものである。これにより、外的刺激の入力増加による意識レベルの改善、腹部臓器による横隔膜の挙上の軽減、座位姿勢での体位排痰ドレナージの効果等による呼吸機能の改善が図られていると考えられる。また、挿管した状態下での車椅子駆動などの訓練を行うことは、呼吸補助筋(大胸筋・肩甲挙筋等)を用いることでの呼吸機能改善を生み出していると考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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