理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP138
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成人中枢神経疾患
片麻痺患者における下肢装具と下肢筋力の関係
脚伸展トルクを指標とした検討
*森尾  裕志山田 純生平野 康之武田 秀和大森 圭貢金子 弥生笠原 酉介笹 益雄
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抄録
【背景】脳血管障害片麻痺患者に対する下肢装具の役割は,変形の予防,歩容の改善,支持性の代償等が挙げられ,ADLに与える影響は大きい。下肢装具のほとんどは長下肢装具または短下肢装具であり,それぞれの装具使用者間では下肢筋力が異なることが報告されている。しかしながら,これらの報告は下肢筋力を単関節運動によって評価したものであり,装具使用者の下肢筋力を脚伸展などの複合関節運動によって定量的に評価した報告はほとんどみられない。【目的】脳血管障害片麻痺患者における非麻痺側,および麻痺側脚伸展筋力と下肢装具使用との関係を検討し,下肢装具処方における脚伸展筋力測定の客観的判断指標としての有用性を明らかにすること。【対象】対象は下肢装具を装用し,歩行が可能な脳血管障害片麻痺患者56名(男性35名,女性19名)であり,平均年齢61.9歳,発症からの平均期間は30.2ヵ月である。全ての対象は口頭による指示動作に十分従え,本測定の主旨に同意が得られた者とした。【方法】対象者を長下肢装具(K)群13名(平均年齢62.0歳),短下肢装具(A)群43名(平均年齢61.9歳)の2群に分け,以下について検討した。非麻痺側および麻痺側の下肢筋力は,ストレングスエルゴ240(三菱電機社製)を使用し,駆動時の脚伸展トルクを測定した。測定にあたり,麻痺側の足部はHiflex Foot Gear(HFG)を装着して固定し,HFGのみで駆動が困難な者に対しては専用外旋防止ツールを用いた。測定は40 回転/分の回転速度において,4回転連続駆動を3セット施行した。得られた最高脚伸展トルクは体重で除し,最高脚伸展トルク値(PLET)とした。麻痺側・非麻痺側比(患健比)は,麻痺側PLETを非麻痺側PLETで除して求めた。K群とA群の2群間で麻痺側ならびに非麻痺側PLET,患健比を比較した。結果の解析は,Mann-Whitney検定を用い,5%を有意水準とした。【結果】非麻痺側PLETは,K群が0.66±0.40 Nm/kg,A群では1.35±0.51 Nm/kgで有意な差が認められた(p<0.01)。麻痺側PLETは,K群が0.22±0.18 Nm/kg,A群では0.79±0.45 Nm/kgで有意な差が認められた(p<0.01)。患健比は,K群で0.34±0.13,A群では0.57±0.22で有意な差が認められた(p<0.01)。K群では全例において,非麻痺側PLETは1.33 Nm/kgかつ,健患比は0.48を下回る値を示した。【考察】片麻痺患者の下肢装具の処方には下肢筋力以外の要因が関与することは自明であるが,本研究はその一要因としての脚伸展筋力について検討した。その結果,K群ではA群に比べ非麻痺側PLET,患健比ともに低く,長下肢装具で麻痺側支持性を補っていることが定量的に確認できた。非麻痺側PLET 1.33 Nm/kg,患健比 0.48は,K群の割合が明らかに変化するカットオフ値として存在しており,今回の脚伸展トルクは下肢装具を処方する際の客観的判断指標に有用であることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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