理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP235
会議情報

成人中枢神経疾患
端坐位における姿勢調節
第3報
*長野 毅松崎 哲治
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】我々はこれまでに、脳卒中片麻痺(CVA)患者の端坐位での体幹側方傾斜時における臀部の圧中心(COP)、身体各分節の傾斜角度を計測し、歩行能力との関連性について報告してきた。その結果、CVA患者の屋内歩行群は屋外歩行群よりもCOPの移動幅と身体各分節の傾斜角度が共に小さく、体幹側方傾斜時におけるCOPの移動幅、身体各分節の傾斜角度は歩行能力と関連性があることが示唆された。今回は、体幹機能に着目し端坐位での体幹側方傾斜時における身体の反応を分析し、歩行能力との関連性を調査し検討を加え報告する。【対象】歩行可能なCVA患者18名、平均年齢59.3±9.7歳を屋内歩行自立群(A群)と屋外歩行自立群(B群)、屋外独歩群(C群)とに分別を行ない各群の比較を行った。また、健常者4名、平均年齢58±7.8歳も同様に計測を行った。【方法】測定機器は床反力計(アニマ社製2枚)を用いた。測定は開眼で足底面が床に接地しない端坐位にて、両上肢を胸郭前方で組ませ、正中位から左右方向へ体幹を最大に傾け、その後元の位置に戻る動作で行った。計測時間は7秒間・サンプリング周波数は60Hzとした。分析するパラメータとしては、臀部のCOPが最も側方に移動している時の床反力Fz(鉛直方向)・Fx(前後方向)・Fy(左右方向)各方向成分のデータを抽出した。統計学的処理は一元配置分散分析にて行った。なお対象者個々で体重が異なるため、各床反力データを正規化した後に統計処理を行った。【結果】Fy成分において、1%の危険率で有意差が認められ、多重比較においても有意差を認めた。A群が最も値が小さく、B群が最も大きな値を示した。Fz成分はA群が他の群よりも小さい値を示す傾向が見られた。Fx成分に関しては各患者でバラツキがみられ、有意差は認められなかった。【考察及びまとめ】今回に加え第36・37回本学会の結果も踏まえると、屋内歩行群は屋外歩行群と健常者よりも移動側の臀部にかかる床反力の値、COPの移動幅、身体各分節の傾斜角度全ての値が最も小さかった。このことは、屋内歩行群は屋外歩行群よりも一側骨盤への体重移動が困難なことが伺え、これには体幹機能が大きく関与することが示唆された。また、屋外歩行群は屋内歩行群よりも一側骨盤へ大きく体重を移動することができると考えられたが、健常者に比べるとCOP移動幅と骨盤をはじめとした身体各分節部分の傾斜角度が小さく、同側体幹の支持性及び対側体幹の制動力に差があるのではないかと思われた。今回の結果からも体幹機能が歩行能力に影響を及ぼす一因子であることが示唆された。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top