抄録
はじめに 当院は全45床中、中枢神経・心臓・腎臓疾患等を罹患している複合疾患患者が半数以上を占めている。複合疾患患者はリスク管理が難しく、積極的リハビリテーションが実施困難な場合が多い。しかし、当院では密な情報交換と徹底したリスク管理を行い患者毎の個別性を重視したチームアプローチを実践している。今回、複合疾患患者の活動度の維持・向上を可能とした症例を報告する。症例紹介 症例1:44歳男性。右中大脳動脈梗塞、左右被殻出血、虚血性心疾患による慢性心不全、慢性糸球体腎炎による慢性腎不全。右片麻痺、嚥下障害、心腎機能障害を呈し、入院時の活動度はB2だった。独歩可能だが心肺機能の低下を認め、10m歩行でバイタルサインの変動があり実用性は低かった。訓練開始するも拒否が強く、抑うつ傾向による意欲減退を認め、昼夜問わず臥床状態であった。そこでチーム目標を「生活リズムの獲得」と掲げ、本人が最も意欲を示した経口摂取に着眼しアプローチを開始した。一般状態・体力の回復に合わせた運動負荷量を決定するために各部門で情報交換を行い、離床及び活動度の向上を図った。2ヶ月後、生活リズムの確立に伴い活動度はA2に向上、抑うつ傾向も改善し訓練及びレクレーションにも笑顔で積極的に参加するようになった。現在、透析導入しているが活動度はJ2に向上、独歩で屋外歩行可能、自宅外出も行った。心腎疾患の管理が終生必要だが、外泊に向けアプローチを継続中である。症例2:64歳男性。右被殻出血、肥大型心筋症による慢性心不全、腎硬化症による慢性腎不全。入院時、左片麻痺、高次脳機能障害、嚥下障害、心腎機能障害を呈し、尿毒症による意識障害、起立性低血圧もあり活動度はC2だった。入院当初に血液透析導入するが循環器系への負担が大きく、腹膜透析に移行した。意識障害は改善したが、腹膜透析により依然としてベッド臥床を余儀なくされ、昼夜逆転を認めた。よってチーム目標を「生活リズムの獲得」と掲げ、患者の日程表をチームで作成し、アプローチを開始した。またADLにおいて介助法が徹底されていなかったため、当院独自の病棟リハビリカルテを使用して介助法の統一を図った。さらに病棟ADL訓練によりスタッフ、家人に介助法の指導と実践を行った。現在、活動度はB1となり昼夜逆転も解消した。入院当初は経管栄養であったが、自力摂取可能となり、車椅子を自走しトイレでの排泄、洗面所での整容も行っている。現在は外泊に向けアプローチを継続中である。まとめ 今回、複合疾患患者に対し密な情報交換を行い、リスク管理を徹底し、個別性を重視したチームアプローチを実践した。その結果、活動度の維持・向上を可能とした。今後も活動度の向上だけでなく、より充実した生活が送れるよう一貫したチームアプローチの継続が重要である。