理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP677
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成人中枢神経疾患
重度身体障害者更生援護施設における脳血管障害者の日常生活活動の変化
*堀口 ゆかり町田 勝広大喜多 潤大庭 潤平藤井 多紀子米倉 敬司篠山 潤一神沢 信行
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抄録
【はじめに】当施設に入所する脳血管障害者の多くは青年・壮年期であり、入所目的は家庭復帰・復職・就職などである。我々理学療法士が利用者に関わっていくなかで、発症後6カ月を超える利用者において、日常生活活動(以下、ADL)の変化を認めることを経験する。今回、当施設における脳血管障害者の発症から入所までの期間の違いに注目し、移動能力とADLの変化について検討を行った。 【対象と方法】対象は平成8年4月から平成14年1月の約6年間に、当施設に入所した脳血管障害者57名とした。性別は男性51名、女性6名、診断名は脳梗塞18名、脳出血39名、障害名は右片麻痺26名、左片麻痺27名、両側麻痺1名、失調3名であった。入所時の平均年齢は47.4±10.2歳、発症後経過期間は平均500.0日、医学的リハビリテーション(以下、医学的リハ)を受けた(発症日から医療機関退院日まで)期間は平均299.9日であった。調査方法はケース記録より、入退所時の移動能力、ADL、転帰先などの項目について調査した。移動能力とADLの変化については、入所が発症後6カ月未満(以下、A群)、6カ月以上1年未満(以下、B群)、1年以上(以下、C群)の3群に分けて検討した。【結果】A群は6名(10.5%)、B群は30名(52.6%)、C群は21名(36.8%)であった。施設内移動能力は、A群で4名(66.7%)、B群で13名(43.3%)、C群で9名(42.9%)、施設外移動能力はA群で4名(66.7%)、B群で17名(56.7%)、C群で8名(38.1%)に改善が認められた。ADLのなかで入浴動作において、A群で3名(50.0%)、B群で16名(53.3%)、C群で9名(42.9%)の改善がみられた。転帰先は、家庭復帰が42名、他施設入所が9名、障害者職業訓練校入学が6名であった。復職は11名、再就職は1名であった。【考察】今回の調査結果では、発症後6カ月を超える脳血管障害者においても施設内外での移動能力や入浴動作の改善が約半数に認められた。これは、対象者の平均年齢が比較的若かったことも考えられるが、移動能力の改善については、施設内外での生活に重点をおいたリハビリテーションアプローチや、公共交通機関の利用を含めた外出経験などを積み重ねたことにより動作能力が向上したと考えられる。また、ADLのなかでも自立度の低い入浴動作において改善がみられたのは、個々の利用者に対して多職種によるチームアプローチが継続して行われたことも影響していると考えられる。家庭復帰に至った利用者においては、移動能力、ADLの向上はもとより住宅・環境調整、また福祉制度利用のための調整などを行うことで、円滑に家族の受け入れ態勢が整えられたと推察される。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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