理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP676
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成人中枢神経疾患
脳血管性パーキンソニズム患者の起居動作遂行レベルとADLについて
*高尾 哲也
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抄録
【目的】脳血管性パーキンソニズム患者の起居動作の介助量は疾病の進行により徐々に増し、ADLにも影響を及ぼす。今回、脳血管性パーキンソニズム患者を対象に、起居動作遂行レベルとFIM運動項目の下位項目からADLのレベルを検討し、若干の知見を得たので報告する。【対象】平成11年10月から平成14年9月までの間、理学療法を開始した脳血管性パーキンソニズム患者21名である。対象のHoehn&Yahr Stageは全員、Stage Vである。【方法】21名を理学療法開始時における起居動作遂行レベル(以下に記載)により3群に分類し、理学療法開始時のFIM運動項目の下位項目(移乗、移動、セルフケア、排泄)の各平均点を各群で算出し、一元配置分散分析法により比較した。尚、ここでの移動は歩行と階段を示す。【起居動作遂行レベル】歩行非自立かつ車椅子・ベッド間の移乗自立の群(T群)、車椅子・ベッド間の移乗非自立かつベッド上の起き上がり(柵の使用を問わず)自立の群(S群)、ベッド上の起き上がり非自立の群(NS群)、という3群に分類した。【結果】3群分類でT群が7名、S群が6名、NS群が8名となった。移乗平均点はT群で16.4、S群で11.8、NS群で4.5となり、T群はS群やNS群より、S群はNS群より、高得点を示した(各々P<0.001)。移動平均点はT群で5.9、S群で2.0、NS群で2.0となった。T群はS群やNS群より高得点を示したが(各々P<0.002)、S群とNS群の間で差は無かった。セルフケア平均点はT群で32.1、S群19.7、NS群で9.5となり、T群はS群やNS群より高得点を示し(各々P<0.001)、S群はNS群より高得点を示した(P<0.005)。排泄平均点はT群で11.1、S群で8.0、NS群で2.75とり、T群はS群やNS群より高得点を示し(各々P<0.02、P<0.001)、S群はNS群より高得点を示した(P<0.001)。【考察】Stage Vの脳血管性パーキンソニズム患者では全身の運動機能が障害されるため、その程度が起居やADLのレベルを示すと思われる。その程度も様々であるが、起居やADLに全身運動が関与する事は多い。移乗やセルフケアの項目は、ほぼ全身運動関与の項目であるため起居動作遂行レベルにより得点差が生じたと思われる。また、腹筋や殿筋という体幹・骨盤の主要な筋は起居のみならず排泄にも関与しており、それらの障害の程度は、起居動作遂行レベルと同様に排泄項目の得点差にも示されたと思われる。移動項目の得点差はT群とS群、T群とNS群、という2つの群間で生じたが、全身運動が関与する移乗でも下肢の運動機能の関与は更に主要であり、下肢の運動機能に依存する歩行や階段昇降と程度が類似するため、移乗の自立か否かによる差のみが移動項目で示されたと思われる。今回の起居動作遂行レベルは、脳血管性パーキンソニズム患者のADL把握の参考指標になると思われる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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