抄録
【はじめに】我々は、昨年本学会にてパーキンソン病患者1症例の自転車エルゴメーター使用における歩行への影響(ゲイトスキャンによる歩行分析から)に関する報告を行った。今回は、症例を増しゲイトスキャンにて歩行分析したので、若干の考察を加え報告する。【対象】パーキンソン病と確定診断され、本研究に同意の得られた6名。男性4名、女性2名、年齢69.8±7.7歳、平均罹患期間3.7±3.8年を対象とした。内訳はYahr stageII 3症例(外来患者(A)、入院患者(B)(C))、stageIII 2症例(入院患者(D)(E))、stageIV 1症例(外来患者(F))であった。Barthel Indexは平均89.2±8.9点であった。【方法】自転車エルゴメーターCateye ergociser EC-1200を使用し最大心拍数100から110回/分、時間5分、負荷0.5kg・m、ペダル回転数40から50回/分、ピッチ音(+)(1症例Bは-)の設定で外来患者は1回/週(合計で平均12±1.5回)、入院患者は毎日・5回/週(継続で平均11±2.7回)施行した。毎回、施行前・施行後にニッタ株式会社製ゲイトスキャン4000を用いて以下の9項目を測定した。_丸1_重複歩幅_丸2_歩幅_丸3_歩隔_丸4_重複歩時間_丸5_1歩時間_丸6_遊脚時間_丸7_両側接地時間_丸8_歩調_丸9_歩行速度。歩行は、センサーシートのある測定スペース(幅54cm、長さ264cm)上とし、3名は歩行補助具としてT字杖を使用した。【結果および考察】パーキンソン病患者の歩行障害は、小刻み歩行が代表的であり歩幅の改善を歩行障害改善の一指標としても誤りではない。昨年発表したパーキンソン病患者1症例の結果は、開始時に比べ終了時は距離因子に改善傾向がみられた。今回も同様の結果を期待したが、対象者6名の開始時と終了時で距離因子_丸1_から_丸3_に有意差は認めなかった(p<0.05)。また、自転車エルゴメーター施行後の歩幅はばらつきが大きく、一定の傾向を認めなかった。しかし、全症例において「歩きやすくなった」という意見は昨年同様に聞かれた。時間因子では(C)(E)の2名は、自転車エルゴメーター施行前に比べ、施行後では_丸5_1歩時間が短くなり、_丸8_歩調と_丸9_歩行速度は大きくなった(p<0.05)。しかし、歩幅は減少していないことより、歩行が憎悪したとは考えていない。次にYahr stageと歩幅の関係に着目してみた。一般的に考えるとYahr stage の進行に伴い歩幅は減少するが具体的な割合は示されていない。今回の結果からは、StageIIでは25から33%、IIIでは20から24%、IVでは16から18%と、身長に対する歩幅の割合は段的に減少を示す傾向があった。今後も継続的に自転車エルゴメーターの有効性、歩幅の割合とYahr stageの関係について調査する必要性がある。