理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: FP147
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神経・筋疾患
CIDPにおける静止時振戦出現時期と臨床症状改善時期の関係
single case study
*石倉 隆柴田 勝博
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キーワード: CIDP, 静止時振戦, 臨床症状
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抄録
【はじめに】慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)では、種々の振戦が出現するとされるが、出現時期や機序は不明で出現頻度も低く、臨床的意義は不明である。今回、CIDPの治療経過中に静止時振戦が出現し、同時期に握力や巧緻性が著明に改善した症例を経験した。この振戦出現と臨床症状改善時期の関係が定量的に証明されれば、CIDPにおける振戦出現が臨床症状改善の指標として今後の臨床に有用と考え、症例に同意を得た上で、その関係を探った。【症例】55歳、女性、製造業。1ヶ月前より把持、巧緻障害出現。初期評価時、筋緊張、関節可動域は正常で筋萎縮はないが握力低下を認めた。深部反射消失し、手袋靴下型表在感覚鈍麻としびれがある。起居動作、歩行自立、手指動作が困難。脳神経、自律神経症状はない。電気生理学的検査はCIDP診断基準(Ad Hoc小委員会)を満たしていた。【治療経過】毎回の治療前に、握力測定と巧緻能力の指標とされるPurdue Pegboard Testを行った。治療は、prednisolone内服、握力増強運動、巧緻性トレーニングを行った。経過は、治療開始後3週間は変化なく、以後6週頃まで手指に静止時振戦が出現した。握力は静止時振戦出現中に右4.6kgから11.2kg、左4.2kgから10.3kgに、Purdue pegboard Testの得点は40点から55点(R+L+Both)と、ともに改善した。この時期の電気生理学的検査値も改善し、CIDP診断基準を満たさなくなった。静止時振戦消失後は改善が緩徐あるいは停止した。【解析方法と結果】振戦出現と臨床症状改善時期の関係を定量的に証明するため、治療期間を振戦出現前、振戦出現中、振戦消失後に分け、握力とPurdue Pegboard testの得点(R+L+Both)から各セッションでceleration line(CL)とその傾きを求め、各々の回復度を検討した。結果、CLの傾きは、右握力で振戦出現前-0.03、振戦出現中0.38、振戦消失後0.16、左握力で振戦出現前0.01、振戦出現中0.33、振戦消失後0、Purdue Pegboardで振戦出現前0、振戦出現中1.29、振戦消失後0となり、いずれも振戦出現中が大きく、振戦出現中に著明に回復したと判断された。また、振戦出現前のCLを振戦消失後まで延長し、その水準の上下ポイント数から、握力、Purdue Pegboard testの改善の有無を二項検定で分析した。結果、双方とも有意差が認められ(p<0.001)、振戦出現中に回復した握力、巧緻性が振戦消失後も維持されていると判断された。【考察】Adamsらが仮説したCIDPにおける運動時振戦や姿勢時振戦出現機序は、静止時振戦が出現した本症例の機序とするには不十分である。また、同様の経過をとるCIDPは、現時点では本症例のみである。しかしその発生機序が不明で、現在は1症例であっても、今後、同様の経過をとるCIDPが複数例確認できれば、CIDPにおける振戦出現が臨床症状改善の指標として有用であり、その臨床的意義は大きいと考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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