理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: FP592
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神経・筋疾患
重度の体幹失調様症状を呈したギラン・バレー症候群の一症例
*啓利 英樹大久保 圭子鈴木 文子齊藤 哲也松永 勇紀中野 順子
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抄録

[はじめに]ギラン・バレー症候群(以下GBSと略す)は臨床症状の特徴から類型分類されるが、多くは対称性の運動麻痺を呈し、感覚障害、運動失調は深部感覚障害が関与するとされる。今回、筋力低下軽度、位置覚、運動覚は正常を認めるも体幹骨盤帯での重度の失調様症状により坐位、立位、歩行困難を呈した症例に関して報告する。[症例紹介]12歳男性。H14.9.10より下痢、感冒様症状を認め、H14.9.13より下肢脱力が出現した。H14.9.17には友人と遊べるくらいに改善を認めたが、H14.9.25から症状悪化し歩行困難となった。H14.9.26に当院入院しGBSと診断された。[経過]入院時所見では両側顔面筋力低下、四肢近位筋筋力低下(MMT4-)、四肢深部腱反射減弱、起立・歩行困難を認めた。H14.9.27より免疫グロブリン大量療法(以下IVIg)を5日間施行された。H14.10.2にM波伝導速度(以下MCV)を測定されたが正常値を示した。H14.10.5より立位歩行改善目的に理学療法を開始した。IVIg後四肢筋力は改善を示し3週経過時点でMMT5まで回復するも立位、歩行困難は持続した。H14.10.25にF波伝導速度、H波を測定、F波は軽度遅延、H波は導出不能の検査所見を呈した。1回目のIVIgから1ヶ月経過し依然として重度の姿勢調節障害を呈すためH14.11.5より2回目のIVIgが5日間、Steroid pulse療法が3日間施行となった。H14.11.19に体性感覚誘発電位(以下SSEP)、H14.11.20にF波、H波をそれぞれ測定し、SSEPは正常、F波軽度遅延、H波は前回導出不能だったものが正常値を示した。[理学療法経過]1回目の治療後より過用症候群に留意しながら床上動作、坐位、起立exerciseおよびROM-exercise試行した。開始時筋力はMMT4以上、表在感覚、振動覚、運動覚、位置覚は正常であったが姿勢保持に関して体幹骨盤帯での重度な失調様症状を認めた。起立exerciseは起立台より開始し約1週で角度90°起立位で全荷重感覚を確認できた。並行して各姿勢感覚へアプローチするも各姿勢保持での失調様の症状は残存した。2回目の治療中は経過観察にとどめ、その後全身状態に配慮しながら起立exerciseを再開した。失調様の症状は臥位、坐位から改善傾向を示し、H14.11.18頃より端坐位が上肢支持なしで安定した。立位はwide baseにて立位保持数秒可能となるも実用歩行は困難を呈した。H14.11.25頃より通常立位で2/3以上の荷重が可能となり歩行器での安定した歩行が可能となった。[まとめ]本症例は筋力回復は良好でかつ深部感覚テストでは正常を示したが、姿勢調節に関しては失調様の症状を重度に示した。LachmanらはF波、H波はより中枢側近位部の障害を反映するとしている。本症例は、初回時電気生理学的検査所見でMCV正常、F波の軽度遅延、H波の消失を示し、2回目治療後H波に関しては正常範囲の導出、SSEPでも正常を呈した。このことは、より近位部のレベル、加えて入力系の障害であることが示唆された。

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