2024 年 5 巻 1 号 p. 184-190
鋼橋の保全工事では,腐食や疲労による性能低下,あるいは最新の基準による要求性能を満足しないことに対する補修・補強が行われる.補修・補強は,既設部材に当て板等の新規部材の追加,あるいは部材の交換が行われることが多い.その際,既設部材の計測による詳細な形状,寸法の把握とともに,十分な知識及び経験に基づいた構造と施工方法に関する三次元的な検討が必要となる.従来の二次元の図面と現実の既設部材の組み合わせによる検討から,生産性向上を目指して理解が容易な三次元のAR技術に着目し,現場で既設部材を直接目の前にして新規部材の設置状況について三次元で実スケールを体感しながら事前に確認する手法を実務に取り込む検討を行った.その結果,事前確認に十分な精度で実施できることを明らかにした.