理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: GP156
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小児疾患
理学療法場面における重症心身障害児と理学療法士とのコミュニケーションについて
担当理学療法士へのインタビューから
*前野 竜太郎
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抄録
【はじめに】理学療法士と自発的な意思表示がほとんどできない重症心身障害児が、互いにどうコミュニケーションを図っていくのかは困難を極める。理学療法の分野においても、他の分野のスタッフと同様、重心児とどのようにコミュニケーションをとっていくか、どのように信頼関係を築いていくかは非常に重要な問題である。 そこで本研究は、まず重心児の理学療法を担当する理学療法士に対し、インタビューを行った。そして、理学療法場面において、理学療法士が重心児とどのようにコミュニケーションを図っているのか、その実態について明らかにし、その場面においてどのような関係が成立しているのかを分析した。【対象と方法】対象は、某医療福祉施設の理学療法士延べ10名。調査期間は、平成13年10月29日から11月5日。インタビューの内容については、質問項目は特に決めずに、できるだけ被験者の自発性を重んじる自由回答形式のインタビューをベースとした。インタビュー内容は、日々担当患児を評価していて気が付いたこと、彼らへの理学療法について日頃から心がけていること、を中心に行った。インタビュー時間は各々30から50分とし、インタビューを録音したテキストデータをPCに取り込んでコード化し、サマリーを解釈し分析した。【結果】分析した結果は以下のとおりであった。_丸1_重心児の身体状況を観察し、客観的に分析する評価(evaluation)だけではコミュニケーションとして不十分である。_丸2_理学療法士は、重心児に対して十分なコミュニケーションが取れない分、単に対象を観察・分析する以上のことを求められている。_丸3_重心児の理学療法においては、十分なコミュニケーションが取れないので、手で触れて、目で見て状態を想像し、把握し、時には理学療法士が相手の<身体>になって彼らの状態を代弁しなければならない。【考察】重心児の理学療法においては、彼らとのコミュニケーションが十全でないために、「本当に正確に評価できているのか」、という対象者の分析・評価の「客観性」そのものが問われることになる。重心児のQOLの充実が叫ばれる今日、このことを明らかにすることは、重心児の理学療法にとって大変重要である。 重心児と関わる場合、ケア的な或いは療育的な視点をもって接し、身体と身体が触れ合うような理学療法を行うことが大切であろう。そのために更なる質的研究の充実がかぎとなる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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