抄録
【はじめに】我々は昨年度の本学会において「就学前通園児に対するPEDI(Pediatric Evaluation of Disability Inventory)を用いた日常生活活動評価の有用性」について報告した。その中でPEDIは子どもの日常生活全般を捉え母親の関心事を知るために有効であるとし、家族中心療育を実践する上で、治療目標を設定し治療計画を立てる療法士の意思決定過程や、養育者へ達成度を説明し了解を得る根拠として活用できる、と提案した。今年度はPEDIによる評価実施者を南大阪療育園全理学療法士に、対象児も就学前通園措置児全員に広げ評価を実施した。この過程で治療目標の設定や、治療計画の立案という目的を持ってPEDIを利用することができているか、についてアンケートを依頼し実態調査を行った。【対象】南大阪療育園の理学療法士22名、PEDIの評価対象は就学前通園児55名。【方法】PEDIによる3ヶ月間隔で2回の経時的評価実施後に、運用に関する記述的調査を実施した。質問事項は1)リハビリテーション総合実施計画書に記載した短期目標は達成できたか、2)設定した治療目標に相当するPEDIの項目はあるか、3)各症例の日常生活の機能的変化を測定できたか、4)PEDIは日常生活機能の把握に役立ったか、5)PEDIは治療計画の立案や見直しに役立つか、6)簡易マニュアル(昨年度、独自に作成したもの)の内容は十分だったか、7)Item mapは利用したか、8)その他意見や提案の記述、である。【結果及び考察】アンケートの回収率は100%であった。各質問事項からは、短期目標は3ヶ月間で67%の症例で達成され、達成群56%非達成群11%で治療目標に相当するPEDIの項目があるとした。今回の目標設定は1回目のPEDI実施前に行われ評価項目を意識したものではなかったが、項目に相当する割合の方が高かった。評価時期を年度当初のケースカンファレンス実施時期に合わせることで項目を参考にでき、子どもの発達段階を踏まえ機能的で測定可能な目標設定の助けになり治療効果判定の手段となると考える。しかし日常生活の機能的変化の測定ができたと回答したのは症例の51%だった。その原因として測定期間が3ヶ月では短い、GMFCSレベル5に相当するような重症児や乳児期の変化はみられにくい、PEDIの評価項目や点数構成の理解が不十分で判断ができない、治療目標には相当するが短期目標としてはもっと細かな段階が必要という意見があった。95%の療法士が治療計画の立案に役立つとしたもののこれらを解決していくために、PEDIの評価内容を熟知し判断基準を一定なものにするための講習会の開催や、症例検討を重ねPEDIを利用するための限界を明らかにしていく必要がある。