理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: GP337
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小児疾患
入園による集中治療の効果判定
Gross Motor Function Measure(GMFM)を用いた評価の予備的研究
*河中 誉真鶴田 ゆかり藪中 良彦平井 真由美片平 美和平井 智香横川 恵美吉田 真司
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キーワード: 集中治療, 治療効果判定, GMFM
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抄録
【はじめに】カナダで開発されたCross-Sectional Motor Growth Curve for Children with Cerebral Palsy by GMFCS Level(以下、Motor Growth Curve)は、カナダで一般的な治療を受けた586名の脳性麻痺児のGMFMのデータを基に作られている。Motor Growth Curveは自然発達とカナダでの一般的な治療効果を含んだ粗大運動発達曲線であり、Gross Motor Function Classification system(以下、GMFCS)レベルと月齢から予想GMFM総合点を算出できる。つまりMotor Growth Curveの計算式を利用することで、被験者群と同年齢、同GMFCSレベルの仮想コントロール群を作ることができる。我々はその仮想コントロール群と被験者群との粗大運動能力の変化の差を比較することで被験者群の治療効果判定が可能ではないかと考えた。そこで入園による集中治療を実施した被験者群に対してMotor Growth Curveを利用し、集中治療の効果判定を試みた。その結果とMotor Growth Curveを利用した治療効果判定の可能性について考察を加えて報告する。【対象】手術例19例を含む脳性麻痺児39名。内訳は、幼児20名、小学生15名、中学生以上4名。GMFCSレベル1が5名、レベル2が7名、レベル3が12名、レベル4が9名、レベル5が6名。痙直型両麻痺児19名、痙直型四肢麻痺児10名、痙直型片麻痺児6名、重症児2名、アテトーゼ児2名。平均入園期間は7.2±2.0ヵ月で、週5回の理学療法を実施した。【方法】GMFM測定を入園直後と退園時に各1回行ない、実測GMFM総合点を算出した。また、各入園児のGMFCSレベルとGMFM測定時の月齢より予想GMFM総合点を算出した。有意差の判定は、Wilcoxonの符号付順位検定を用いて行った。【結果】入園直後の実測GMFM総合点と予想GMFM総合点の間に有意差はなかった。退園時の実測GMFM総合点は予想GMFM総合点よりも有意に大きかった(p<0.03)。入園直後と退園時の間の実測GMFM総合点の変化量は予想GMFM総合点の変化量よりも有意に大きかった(p<0.001)。【考察】今回の結果から、入園時にはカナダのデータの予想範囲内であった集団が、入園による集中治療により、退園時にはカナダのデータの予想を上回る粗大運動能力の高い集団になったと考えられる。即ち、平均7.2±2.0ヵ月の間の集中的な治療は、カナダでの7.2ヵ月間の一般的な治療よりも治療効果が有意に高かったと推察される。この研究方法の信頼性を向上させるためには、入園の数ヵ月前にGMFM測定を行い、入園前と入園直後の粗大運動能力の変化がMotor Growth Curveの予想範囲内であったことを証明する必要があったと考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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