理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: HO058
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呼吸器疾患
心臓血管外科術前後の呼吸理学療法についての検討
*結城 恵井田 英司伊勢 眞樹
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抄録
【はじめに】当院においても心臓血管外科術後、肺合併症予防、改善を目的に呼吸理学療法を行っているが、その方法は統一されていない。また、ICUから一般病棟へ転床後、肺炎を併発する症例を認めた。そのため、呼吸理学療法プロトコール作成を目的に、その流れと方法(インセンティブスパイロメトリ―(以下IS)の一つであるスーフルとコーチ2、ISを使用しない気道クリアランステクニックとしてThe Active Cycle of Breathing Technique(以下ACBT)の3種類)について検討した。【対象】対象は当院で待機的心臓血管外科手術を施行した症例78例であり、ランダムにスーフル群(以下S群)28例、コーチ2群(以下C群)25例、ACBT群(以下A群)25例の3群に分類した。【方法】以前から看護師等が行っていた呼吸理学療法のアプローチに、理学療法士が加わり、改良を加え、3種類の方法を施行した。術前肺機能(%VC、FEV1.0%)と術後肺機能、術後無気肺、肺炎の有無(3日目、7日目)、術後不整脈の有無、ICU・CCU日数、起立開始までの日数、在院日数について比較検討した。解析は、分割表分析と分散分析を用い有意水準は5%未満とした。【結果】術前後肺機能はそれぞれ3群間に差を認めず、前後間の肺活量は術後3群間ともに有意に低下していた。術後無気肺の有無は3日目、7日目ともに3群間に有意差はなかった。また、術後肺炎は3群間ともに認めなかった。術後不整脈の有無はS群に多かった。また、ICU・CCU日数(S群:3.0±1.6、C群:3.3±1.8、A群:3.2±2.3)、起立開始までの日数(S群:5.0±1.9、C群:4.6±1.6、A群:4.0±2.0)、在院日数(S群:20.9±12.1、C群:19.6±1.8、A群:21.0±10.1)について有意差はなかった。【考察】今回、術前後肺機能において肺活量が術後1週間目に有意に低下していた。これは、肺合併症を併発しやすい状態である。排痰に加え、換気量を増大させることが重要であり、また、その必要性が明確になった。また、今回、術後無気肺、肺炎において3群間に差を認めなかった。これは、術後呼吸理学療法を行う上で、深呼吸やISという方法の違いが術後肺合併症の発生に影響する因子ではないということがいえる。また、ICU・CCU日数、起立開始までの日数、在院日数に差がなかったことから、回復状況にも影響しないと考えられた。また、術後は、麻酔の影響やせん妄状態、心機能が低下し、不整脈の発生しやすい状況にあり、ISを効果的に使用することが困難な症例を認めた。一方、ACBTは、理解も良く、非侵襲的で安全な方法であり、術直後の呼吸理学療法に有用であることが示唆された。また、今回の検討実施に際して、術後肺炎を併発した症例を認めなかった。これは、医師、看護師、理学療法士間の意識、方法の統一により包括的呼吸理学療法が施行できたためと考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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