理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: HO057
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呼吸器疾患
当院における急性期呼吸リハビリテーションの検討
*瀬崎 学小海 菊江上原 数之阿方 裕鈴木 和夫吉嶺 文俊栢森 良二
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抄録
【はじめに】当院では1996年4月より呼吸リハビリテーション(PR)を実施しているが、内科・外科・整形外科・リハビリテーション科との連携の下に呼吸状態の改善・早期離床の促進・ADLの向上などを目的に急性期におけるPRへの取り組みもすすめてきている。今回は過去7年間の当院における急性期PRについて検討した。【対象及び方法】対象期間は1996年4月から2002年11月。対象は当院に入院しPRを実施した1183症例のうち、早期にPRを実施するためにPTが介入した323例(全PR実施例の27.3%、男性204名、女性119名、平均年齢73.7±14.1才)を対象とした。この対象群の(1)疾患の内訳、(2)入院日からのPR開始日数及びPR実施日数、(3)人工呼吸器併用の有無、(4)PR開始前後のADLレベルの変化・生存率、等をPT診療録及び入院カルテより調査した。【結果】(1)疾患の内訳は、内科系の依頼152例、外科系の依頼171例であった。内科系の依頼ではHOT患者の急性増悪例が大多数を占め、外科系の依頼では癌摘出術前後のものが157例(胃66例、大腸42例、直腸20例、食道11例、その他18例)、頚椎損傷など整形外科からの依頼が14例であった。(2)PR開始病日は入院日より平均1.2病日(0から6病日)、PR実施期間は平均32.5日(3から188日)であった。(3)全例の酸素投与は平均2.9L/m(0.5から15L/m)であり、人工呼吸器による機械的換気を実施していたものは46例であった。人工呼吸器装着からの離脱成功は40例であり、その後在宅人工呼吸療法へ移行したものは10例(25%)であった。そのうち入院時に非侵襲的換気療法(NPPV)を試みたものは33例(71.7%)であり、特に当院では1999年以降急性期でのNPPVの実施例の増加がみられた。(4)PR実施後のADLレベルは、272例(84.2%)の症例が歩行獲得まで改善がみられたが、26例(8%)は寝たきり状態となり、25例(7.8%)は全身状態が悪化して死亡した。【考察】今回の検討から、ほぼ全例において入院後2日以内でのPTの介入ができていた。内科系の依頼では入院とほぼ同時期にPRのオーダーが内科医より処方され、外科系の依頼では術前の評価を含めて依頼があるためほぼ全例で入院と同時(術前)にPRのオーダーがあり、PTの介入が始まっていた。これより院内の急性期におけるPRのシステムが有効に稼動してきていることが考えられた。また、当院ではICUが存在しないため急性増悪の挿管例や術直後の患者がそのまま病棟の個室に入ることから管理に難渋する反面、早期離床・ADL拡大へ移行しやすいという特徴がみられた。PRの効果として全体の84%以上の症例を歩行レベルまで回復させうることが可能であったが、死亡例に多く見られた高齢者の誤嚥性肺炎や間質性肺炎の急性増悪例などに対しては治療・訓練に難渋する場面も多く、今後の検討課題といえる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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