理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: LP706
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スポーツ
中学校バレーボール部に対するメディカルサポート
*須藤 宗伊藤 紗岐子三浦 雅史
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抄録
【目的】バレーボールは中学生に人気のスポーツであり、ジャンプやステップの繰り返しが多く、成長期スポーツ外傷の発生が高い。我々は平成14年度から某中学校バレーボール部のメディカルサポートを行う機会を得た。そこでの活動を報告するとともに、学校部活動に対するメディカルサポートの問題点を考察する。【対象】対象は某中学校バレーボール部の男子4名、女子13名の計17名である。男子は部員が不足しており、平成14年度は11月現在まで公式戦の出場はない。女子については県中体連夏季大会優勝の実績を有する。【活動内容】平日の業務終了後や休日を利用して学校を訪問し、急性外傷に対する応急処置、急性・慢性スポーツ外傷の予防に関する整形外科的なメディカルチェックやトレーナー活動を行っている。また、学校外での練習や大会にもできるだけ帯同し、その際要請があれば他校の監督や生徒に対してもスポーツ外傷の相談や応急処置を行っている。【問題点】約半年間の活動を通し、以下のような問題点が挙げられた。1.監督・生徒・保護者に関する問題点:3者の共通問題として、子どもの身体特性に関心が低く知識が乏しいことが挙げられる。このためウォーミングアップやクーリングダウンの不備、オーバートレーニング、スポーツ外傷の初期徴候の見過ごしなどを招いている。2.大会に関する問題点:中学校における大会では一般のスポーツ大会とは異なり必ずしも救護体制が整っておらず、急性外傷の応急処置を行っていないのが現状である。また、競技会場の狭さや審判補助のため試合終了後のクーリングダウンが十分に実施されていない。3.PTの問題点:子どものスポーツ活動を医学的に支援する上で提供する情報の質や量、フィードバックの仕方が適切であったかという反省点がある。また、効果のある処置を行えているか、その際きちんと説明し納得を得ているかなど現場での対応に関しても考える必要がある。さらに思春期の女子生徒には同性のスタッフが接する必要があろう。【考察】小学校高学年から中学校の間は身体の発育が最も著しい時期である。また、性徴がはっきりする時期でもあり、この期間のスポーツ活動は健康な身体とこころを形成する上で重要である。学校部活動はスポーツであると同時に学校教育の延長であり、その教育現場に医療者(PT)が介入していくことは現状として難しい。しかし、子どもの健康とスポーツ外傷予防にメディカルサポートが果たす役割は大きく、そのことにより子ども自身と保護者を含めた学校部活動の現場に対して子どもの身体特性とスポーツ医学の啓発が必要ではないかと考える。なお本研究は青森県理学療法士会研究助成もと活動している。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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