理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO099
会議情報

測定・評価
健常者における拾い動作の検討
脳卒中片麻痺患者における拾い動作と歩行自立度との関連(第2報)
*田村 美和沖山 努塩田 智之堀口 郁子酒本 美樹二田 梨江藤原 夏花西川 武實松 昌実
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キーワード: 足位, 足圧中心, 荷重率
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抄録
【はじめに】我々は、第37回本学術大会において、脳卒中片麻痺患者の歩行自立を判断する指標として、拾い動作との関連を報告した。その中で、歩行非自立群は非麻痺側下肢を前方にする傾向を認め、非自立群が、非麻痺側下肢を前方にすることで、支持性の低い麻痺側での荷重を少なくしているのではないかと仮説をたてた。今回健常者を対象として、拾い動作時の足位に着目し、足位の違いが、足圧中心と荷重量に与える影響を検討したので報告する。【対象と方法】対象は健常者10名、男性6名、女性4名で年齢62.4±5.0歳、利き手は全員右であった。測定機器は、アニマ社製重心動揺解析システムG-6100を使用した。課題は、静止立位から検者の合図でお手玉を利き手で拾い、その後測定終了まで静止立位を保持するものである。お手玉の位置は足圧測定用センサー台の中心より40cm前方とした。被験者の測定肢位は、足位を足圧測定用センサー台の中心より左右に両踵15cm開いた開脚立位と、その肢位より一足下肢を後方へ20cm開いたステップ位とし、それぞれ開脚(開脚位)、右下肢前(同側位)、左下肢前(対側位)の計3パターンとした。足角は7度で設定し、サンプリング周期は5msecで15秒間測定した。足圧中心と荷重量は、課題終了1秒前(静止立位)と、お手玉に触れた瞬間(拾う瞬間)を基点とし、それぞれ前後25msec内11ポイントの平均を算出した値とした。さらに荷重量を各々被験者の体重で除した値を荷重率とし、足圧中心と荷重率の値をそれぞれ10名で平均した。統計解析にはWilcoxonの符号付順位和検定を用い、有意水準5%未満とした。【結果と考察】足圧中心の前後方向への移動をみると、開脚位の座標は、静止立位(0.05±0.52,-0.07±0.68)拾う瞬間(-0.20±1.43,2.30±2.21)、同側位では、静止立位(-0.23±0.70,-0.79±0.60)拾う瞬間(2.85±2.68,5.56±3.50)、対側位では、静止立位(0.48±0.45,-0.79±0.69)拾う瞬間(-5.45±3.89,8.25±3.19)を示した。足圧中心はいずれの足位においてもY軸方向、すなわち前方へ有意に移動していた(p<0.05)。荷重率は、開脚位の静止立位では右0.50±0.04左0.51±0.04、拾う瞬間右0.54±0.08左0.62±0.08。同側位の静止立位は、右0.37±0.09左0.64±0.09、拾う瞬間右0.59±0.13左0.55±0.11。対側位の静止立位は、右0.59±0.09左0.40±0.08、拾う瞬間右0.35±0.13左0.76±0.14。これら荷重率の変化を比較すると、同側位では右下肢、対側位では左下肢へと、前方の下肢へ荷重されていることが有意に示された(p<0.05)。今回の結果より、拾い動作では前方下肢の支持性がより重要であると考える。今後は脳卒中片麻痺患者との比較を行なうとともに、さらに健常者の症例数を増やし、拾い動作についての足圧中心の移動範囲等、他の因子を追究していく必要がある。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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