理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO108
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測定・評価
肩関節疾患患者における痛み感受性の評価
*田中 貴広建内 宏重太田 善行楞田 眞弘大野 博司八幡 元清加藤 洋山口 淳土居 宗算
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抄録
【はじめに】痛みの感じ方には個人差があり、同程度の損傷や炎症などの刺激に対して患者が訴える痛みの程度は多様である。臨床では痛み感受性が高いと思われる症例では、理学療法の施行に難渋することが少なくない。 そこで今回は、肩関節疾患患者における痛み感受性とその影響因子について検討した。【対象】健常女性(以下N群)14名(平均年齢50.0歳)、肩関節痛を主訴とする女性患者(以下S群)13名(平均年齢56.9)を対象とした。【方法】1)痛み感受性の測定。1.圧痛閾値の測定。酒井医療社製手指筋力測定器のセンサー部分を被験者の胸骨柄に置き、センサー上から検者が徒手にて圧を徐々に加えた(加圧速度0.5kg/sec)。圧感覚から痛みに変わる点を「圧痛閾値(kg)」とした。2.圧5kg時の痛みの測定。1と同様の手順で胸骨柄に圧を徐々に加え、圧5kgに達した時に感じた痛みをvisual analog scaleにより測定した「5kgVAS(cm)」。1.2それぞれを痛み感受性の指標とした。また両検査とも2回測定し1回目を練習、2回目を実測値とした。各検査間には2分間の休憩をとった。 2)影響因子の測定。「肩関節痛持続期間」、「現在の肩の痛み(VAS)」、そして日本語版GHQ精神健康調査表を用いて「ストレス度」をS群のみに測定した。 評価項目として1.N群・S群間の痛み感受性を比較するとともに、 2. 痛み感受性と各因子「肩関節痛持続期間」、「現在の肩の痛み」、「ストレス度」との相関関係を検討した。【結果】1.圧痛閾値はN群3.1±0.8kgとS群3.9±1.1kg(p=0.16)との間に有意な差を認めなかった。5kgVASはN群3.7±2.4cmとS群6.23±2.3cm(p<0.01)との間に有意な差を認めた。(Studentのt検定) 2.痛み感受性と「現在の肩の痛み」との間には有意な相関関係(r=0.68)を認めたが、「肩関節痛持続期間」、「ストレス度」との間には有意な相関関係は認められなかった。(Pearsonの相関係数)【考察】痛みを主訴とする肩関節疾患患者は、健常者より痛み感受性が高いことが明らかとなった。また痛み感受性の評価として圧痛閾値は直接的な指標になりえないが、圧痛閾値を越える刺激は有用であると考えられる。痛み感受性に影響を及ぼす因子に関しては「現在の肩の痛み」のみに関係を認めたが、今後、今回調査したもの以外の因子についても検討する必要性があると考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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