理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO466
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測定・評価
当院で開発したデジタル表示角度計の正確性と再現性
*曷川 元萩原 礼紀
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抄録
【はじめに】臨床に携わる我々は日々繁雑な業務が付帯し、時間に追われる場合が多い。しかしリハビリテーションの根幹をなす評価・測定をおろそかにすることはできない。今回、我々は臨床業務の効率を向上させ、かつEvidence-Based Medicine(以下EBM)に根ざした正確な評価・測定を実施し得るシステムの構築を目指しデジタル表示機能付角度計(パール光学工業製Electric Goniometer 以下E-ゴニオ)の試作機を作製した。本体部分に角度をデジタル表示する液晶を備え、ボタン操作により表示角度が押した所で止まる機能、その角度が順次記憶される機能を有している。E-ゴニオの使用による評価・測定の正確性・妥当性と業務効率向上効果について検討するため以下に示す実験を試みた。【対象と方法】1.対象は経験年数10年以上の理学療法士(以下PT)6名(A群)と経験年数5年以下のPT(B群)6名である。木材と蝶番で製作した膝関節模型を屈曲角67度に設定しE-ゴニオと東大式鉄製角度計(以下東大式)でそれぞれ1人20回測定しAB群で比較した。2. 29歳健常男性の肩関節屈曲、伸展、内外転、内外旋6方向をE-ゴニオと酒井製プラスチック角度計(以下PG)で測定し、10名のPTが測定にかかった時間について比較した。【結果】1.測定値の平均はE-ゴニオA群68.4±1.67(MEAN±SD)度、B群68.8±1.34度、東大式A群69.2±2.77度、B群70.1±5.81度で角度計・検者による違いでの有意差は認めなかったが、E-ゴニオの測定値は東大式よりばらつきが少ない傾向にあった。2. 測定時間の平均はE-ゴニオ69.5±16.9(MEAN±SD)秒、PG135.8±20.3秒でE-ゴニオを使用することで有意に測定時間が短縮した(p<0.05)。【考察】実験1の結果からE-ゴニオは従来型角度計に比して正確性において遜色なく、再現性において優れている傾向にあった。標準偏差に差が表れたのは、ボタン操作により角度を記憶させる機能の存在により、従来の角度計にありがちであった角度の読み取り誤差が減少したためと思われる。又、測定値を数字で確認できるE-ゴニオでは角度の読み違いが見られず、経験年数にかかわらず正確に角度を測定することが可能であった。 実験1.2.の結果から関節角度の測定誤差減少、計測時間の有意な短縮があり、業務効率の向上が示唆された。E-ゴニオは測定角度を記憶する機能によりメモをとる必要がなく、測定時間が短縮したものと考えられた。今回の実験では0.25度の精度で表示できる試作機をもってしても、測定値の平均に有意差は見られず、正確性において既存の角度計を上回る結果は得られなかった。これは試作機が重量530gと重く形状、材質なども含め操作性に問題があったと考えられる。今後、実用化に向けてこれらの問題点を改善し、更なる実用性の向上が必要と考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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