理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO468
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測定・評価
カナディアン義足歩行の酸素摂取量
*中村 重敏
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抄録
【はじめに】カナディアン義足は股離断者に対して最も有用な義足であり、世界中で使用されている。しかし、歩行スピードが遅く、平地でのカナディアン義足歩行の酸素消費量が多いことが欠点とされている。さらに最も歩行が困難な上り勾配歩行での酸素摂取量の測定は行われておらず、実用的な評価もされていない。今回我々はカナディアン義足をつけ社会復帰している股関節離断者2名をトレッドミル上で傾斜角度を変えながら歩行させ、その間の酸素消費量を測定し、登り勾配歩行について健常者との歩行効率を比較検討した。【対象】被験者1:38歳男性、体重67kg、身長168cm 22年前左骨軟骨腫瘍のため、左股関節離断を施行された。被験者2:46歳男性、体重62kg身長167cm、1年前左大腿骨傍骨性肉腫のため股関節離断を施行された。コントロール群:として健常人男性2人、平均年齢24歳 平均体重60kg 平均身長173cm【方法】安静座位で十分な休息をとった後、3分間のコントロール時測定、安静立位で3分間の測定を行った。その後トレッドミル上を時速1kmで3分、2kmで3分水平位での測定を行った。その後、時速2kmで傾斜角度を2.5%、5%、7.5%、10%と上げながらそれぞれ3分間ずつ歩行負荷した。呼吸代謝測定器ウエストロンを使用して呼気ガス分析を行い、この間の酸素摂取量と心拍数を測定した。【結果】被験者:安静座位3.1 ml/kg/m、安静立4.2 ml/kg/m、時速1 km 歩行時8.4 ml/kg/m、時速2 km 歩行時12.8 ml/kg/m、傾斜角2.5%、5%、 7.5%、10%時でそれぞれ12.0、14.1、16.5、16.9 ml/kg/mであった。対象2:安静座位3.4 ml/kg/m 安静立位4.5 ml/kg/m 時速1 km 歩行時8.5 ml/kg/m 時速2km 歩行時13.6 ml/kg/m、傾斜角2.5%、5%、7.5%、10%時でそれぞれ14.3、14.6、15.1、15.8 ml/kg/mであった。コントロール群ではそれぞれ4.0、4.9、7.3、8.2、9.0、9.9、10.7、11.4 ml/kg/mであった。 【考察】Nowrrziらはカナディアン義足平地歩行酸素摂取量は健常人より50から60%増加すると報告している。今回我々の研究では健常者より30から40%の増加にとどまった。この理由として1)股義足が3kg以下に軽量化されて歩行しやすいこと。2)今回の被験者が毎日の生活の中で義足を実用的に使用しており義足歩行に熟練していること。3)義足歩行者は平地歩行で、健常者に比べより多くの酸素摂取量が必要なため、登り勾配になった時の変化率は健常者に比較して低いことがあげられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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