理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO472
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測定・評価
2ステップテストを用いた簡便な歩行能力推定法の開発
*平野 清孝村永 信吾
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抄録
【目的】リハビリテーションの専門家にとって,的確に現在の歩行能力を推定し,その時期の身体状況にあった介入を試みることで,安全で,且つ自立した生活が維持できるような援助を行っていくことは重要な責務である.本研究の目的は,簡便に歩行能力を推定するために考案した最大2歩幅と身長の比で示した2ステップテストの有効性及び妥当性についてこれまで報告されている10m歩行速度,6分間歩行距離,転倒歴及び日常生活自立度との関係から検証した.【対象及び方法】健常群108 名(男性38名,女性70名,平均年齢59,0±12.6才),リハビリテーション通院患者群108名(男性56名,女性52名,平均年齢64.0±10.6才),合計216名,平均年齢61.8±12.0才であった.2ステップテストは,バランスを崩さず実施可能な最大2歩幅とし身長比で標準化した値を2ステップ値とした.10m歩行速度と6分間歩行距離は,可能なかぎりの速歩にて実施した.転倒歴は問診にて行い,日常生活自立度は,「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」(厚生労働省,1991年11月)をもとに決定した.【結果】2ステップ値と10m歩行速度の関係はr=0.90,p<0.001,予測歩行速度(km/h)=-0.72+5.16×2ステップ値,6分間歩行距離(m)はr=0.89,p<0.001,予測6分間歩行距離(m)= -63.75+437.37×2ステップ値とそれぞれ強い正の相関を示し,その予測式が得られた.また,聞き取り調査から2ステップ値と転倒の危険度や日常生活自立度との関係では,転倒不安のない群(1.39±0.22),転倒に不安を持つ群(0.73±0.27),転倒歴を有する群(0.63±0.28)と転倒の危険度が増加するに従い2ステップ値が徐々に低下する傾向が見られた.さらに交通機関を利用した外出が自立している群1.26±0.20,隣近所への散歩のみ自立している群0.76±0.23,屋内歩行のみ自立している群0.52±0.20,屋内においても歩行に介助が必要な群0.46±0.15と日常生活自立度が制限されるに伴い2ステップ値が低下していることが示された. 【考察】2ステップテストは,これまで用いられている歩行能力指標である10m歩行速度や6分間歩行距離などの歩行能力と高い相関を示し,さらに転倒の危険性や現在の日常生活の自立度(寝たきり度)を簡便に推測しうることが示された.これは本人の身長を指標としているために「安全な歩行能力獲得には,2歩幅で身長を超えるようにしましょう」とか,「2歩幅で身長が超えられない場合,転倒予防のために杖を用いましょう」といったより具体的でわかりやすい目標値の提示を可能とするために,医療者側だけではなく本人及び家族にも理解しやすい自立支援のための指標として活用することが可能と考える. 
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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