理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO476
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測定・評価
トレッドミル歩行と平地歩行における運動生理学的検討
*林 ひろみ大塚 圭才藤 栄一寺西 利生伊藤 実和
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抄録
【目的】トレッドミル歩行(以下TM歩行)は臨床において,平地歩行(以下OG歩行)の代替としてよく用いられている.我々の先行研究では,時間因子・運動学・運動力学・筋電図学的側面から比較した結果,わずかに差は生じるものの,両歩行はほぼ同一の歩行であるという知見を得た.しかし,運動生理学的検討においては一定の見解に至っていない.そこで今回,両歩行の呼気ガスと心拍数(以下HR)の計測を行い比較検討したので報告する.【対象・方法】健常成人20名(男性4名,女性16名,年齢22.4±1.0歳,身長157.7±3.6cm,体重51.4±4.6kg)を対象とした. はじめに被験者に安静時の,呼気ガス(V(dot)O2,V(dot)CO2,V(dot)E)とHRを座位にて5分間計測した.その後,主観的快適速度のOG歩行(A),主観的快適速度のTM歩行(B),Aと同速度に設定したTM歩行(C)を各5分間施行し,V(dot)O2,V(dot)CO2,V(dot)E,HRの計測を行った.なお,計測はA→B→Cの順とした.各試行間には十分な休憩(安静時HRに戻るまで)をいれた.呼気ガス計測は呼吸代謝測定装置TEEM100(Aero Sport社製),HR計測は医療用テレメータWEP-7202(日本光電社製)を用いた.統計学的処理として一元配置分散分析および多重比較検定(FisherのPLSD検定)を用いて比較検討を行った.【結果】主観的快適速度はTM歩行平均2.86±0.97km/h,OG歩行平均4.34±0.54km/hであった. A,B,C各試行におけるV(dot)O2/kgはA:7.67±3.03 l/min/kg,B:6.03±1.38 l/min/kg,C:8.42±3.08 l/min/kg,V(dot)CO2/kgはA:7.40±2.18 l/min/kg,B:5.68±1.43 l/min/kg,C:7.92±2.34 l/min/kgであり,各試行間に有意差は認められなかった.V(dot)EはA:11.64±2.20 l/min,B:9.41±2.52 l/min,C:13.12±2.77 l/minであり,HRは,A:99.93±1.00 beats/min,B:94.29±1.00 beats/min,C:102.75±10.59 beats/minとV(dot)E,HRともにA,C間,B,C間において有意差(p<0.05)が認められたが,A,B間に有意差は認められなかった.【考察】主観的快適速度はOG歩行がTM歩行の約1.5倍を示し,先行研究同様の結果を示した.同速度に設定したOG歩行とTM歩行を比較すると,V(dot)E,HRなどの心理的影響が作用しやすい因子において有意にTM歩行が高値を示した.これは,トレッドミルという特殊な環境がこれらの心理的因子に働きかけ,主観的速度の上昇につながったのではないかと考えられた.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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