理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO544
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測定・評価
高齢者の臨床的な体幹伸展筋力評価方法としてのブリッジ動作の検討
*青木 はる奈榎並 彩子内田 京子寺田 めぐみ福原 千史浦辺 幸夫
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抄録
【目的】我々は、臨床で簡便に使用できる高齢者の体幹筋力評価法を検討してきた。青木の先行研究(2002)において、体幹伸展筋力とブリッジ動作の殿部挙上量に比較的強い相関がみられ、ブリッジ動作の殿部挙上量が体幹伸展筋力評価項目となり得る可能性が示された。ブリッジ動作時の筋活動は、ハムストリングや大殿筋などが比較的強いことが報告されている(岩月ら 1988、山本ら 1994、市橋ら 1998)が、殿部挙上量に関する分析はみられない。そこで今回は、ブリッジ動作の殿部挙上量に影響する因子を明らかにすることを目的に、下肢と体幹の可動性及び筋力を測定し、測定項目間の関係を検討した。【方法】対象は、当院に外来通院している60歳以上の高齢者20名(男性7名、女性13名)とした。ブリッジ動作時に疼痛のある者は除外した。平均年齢、身長、体重はそれぞれ73.6±7.3歳、156.7±10.5cm、58.2±13.6kgであった。測定項目は、(1)関節可動域の測定として股関節6項目(屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋)、膝関節2項目(屈曲、伸展)及び体幹2項目(屈曲、伸展)、(2)筋力の測定としてPower Track 2(日本メディックス社製)を使用した股関節6項目及び膝関節2項目の最大等尺性筋力の体重比(N/kg)、(3)Tilt sit upで起き上がり可能な最低角度(青木、2000)、(4)On hands push upでの下顎挙上量と上体そらし運動での下顎挙上量の比(%)などである。以上の測定項目とブリッジ動作の殿部挙上量の身長比(%)を比較した。殿部挙上量は、背臥位膝関節屈曲90°でのブリッジ動作における殿部最大挙上時の大転子から床面までの距離とし、身長で除した。【結果】ブリッジ動作の殿部挙上量の平均値は、23.0±4.1cm(身長比14.7±2.4%)であった。殿部挙上量と股関節外旋可動域(r=-0.62、p=0.004)、膝関節伸展筋力(r=0.56、p=0.01)は有意な相関を示したが、その他には有意な相関はなかった。ステップワイズ回帰分析では、回帰式は殿部挙上量=16.5+(-0.2×股関節外旋可動域)+1.4×膝関節伸展筋力(p<0.001)となった。【考察】先行研究ではブリッジ動作の殿部挙上量が高齢者の体幹伸展筋力評価項目となり得る可能性が示されたが、今回殿部挙上量と有意な相関がみられたのは股関節外旋可動域と膝関節伸展筋力のみであり、先行研究は否定された。体幹や下肢に何らかの機能障害を有する高齢者のブリッジ動作には多様な因子の影響が考えられるので、一律に評価することは困難であるのかもしれない。ブリッジ動作に関する報告はいずれも比較的若い成人を対象としており、高齢者を対象とした報告は少ない。高齢者のブリッジ動作の殿部挙上量に影響を与える因子については、より詳細な分析が必要と思われた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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