抄録
【目的】歩行や日常生活動作を行なうには、足部を接地荷重し下肢全体で伸展支持する筋力が必要であり、Closed Kinetic Chain(以下CKC)での筋力評価やトレーニングの重要性が指摘されている。CKCはOpen Kinetic Chain(以下OKC)に比べて、より動作を反映しているものと思われるため、片脚起立能力とCKC・OKC筋力との関係について検討した。【対象と方法】対象は、健常な男性7名、女性9名(平均年齢28.8±7.3歳、平均身長165.4±9.4cm、平均体重59.0±10.4kg)であった。片脚起立能力は、背もたれのない5cm台を用い、片脚にて立ち上がり動作を行ない、その可否を両側で測定した。CKC筋力として脚伸展筋力を測定し、レッグプレスマシン(COP-1201酒井医療)に背筋力計(バックD竹井機器工業)をロープで固定し、膝関節屈曲30度、50度、90度にて、片脚ずつ等尺性にて最大伸展筋力を3秒間行い、その最大値を測定した。測定値は体重で除し脚伸展筋力体重比として求めた。OKC筋力としては膝関節伸展筋力を測定し、等尺性にて最大伸展筋力を3秒間行い、その最大値を測定した。測定値は体重で除し脚伸展体重比として求めた。OKC筋力としては膝関節伸展筋力を測定し、等速性筋力測定機器(マイオレットRZ-450川崎重工株式会社)を使用し、角速度60度/sec、350度/secにてピークトルク値を測定し、それを体重で除し膝関節トルク体重比とした。片脚起立可能であった群(n=20)、不可能であったものを非起立群(n=12)とし、両群の平均値の差の検定には、対応のないt検定を用い、有意水準を5%未満とした。【結果】膝関節トルク体重比は、起立群0.23±0.05非起立群0.21±0.03であったが、有意差は認められなかった。膝伸展筋力体重比は、起立群、非起立群各々で、30度:2.64±0.77、60度:3.02±1.14、90度:1.15±0.46、1.13±0.15であった。60度でのみ両群に有意差が認められた。【考察】今回5cm台からの立ち上がりにおいて、起立群の方が非起立群に比べ、脚伸展筋力が有意に大きかったが、膝関節筋力には有意差が認められなかった。脚伸展運動では、股関節、膝関節、足関節との複合運動として筋力が発揮されており多関節が関与する。立ち上がり動作をより反映していたと考える。しかし、膝屈曲90度での脚伸展筋力には有意差が認められず、筋力測定時の肢位が、実際の動作肢位と異なっていたためと考えられた。