理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP278
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測定・評価
健常者における垂直跳び能力と下肢筋力との関係
*霜下 和也後藤 伸介松村 朋枝中田 俊博
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キーワード: 垂直跳び, CKC, OKC
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抄録
【はじめに】近年、Closed Kinetic Chain(以下CKC)での筋力評価やトレーニングの重要性が指摘されている。日常生活やスポーツ活動における大部分の下肢の運動は足底が接地した状態であるため、CKC筋力はOpen kinetic Chain(以下OKC)に比べて、より実際の動作やパフォーマンスに反映されているものと思われる。そこで、今回は垂直跳び能力とCKC・OKC筋力との関係について検討した。【対象と方法】対象は、健常な男性7名、女性9名(平均年齢28.3歳±7.3歳、平均身長165.4±9.4cm、平均体重59.0±10.4Kg)であった。垂直跳び能力は、ジャンプ計(ジャンプMD竹井機器工業)を使用し、片脚にて2回ずつ跳躍し、その最大値を測定した。脚伸展筋力はレッグプレスマシン(COP-1201酒井医療)に背筋力計(バックD竹井機器工業)をロープで固定し、膝関節屈曲30°、60°、90°にて、片脚ずつ等尺性にて最大脚伸展を3秒間行い、その最大値を測定した。測定値は体重で除し脚伸展筋力体重比として求めた。膝関節屈曲・伸展筋力は等速性筋力測定機器(マイオレットRZ-450川崎重工株式会社)を使用し、角速度60°/sec、350°/secにてピークトルク値を測定し、それを体重で除し膝関節トルク体重比として求めた。統計学的分析としてPearsonの相関係数を用いて、片脚垂直跳び能力と脚伸展筋力体重比および膝関節トルク体重比間における相関を検討した。【結果】片脚垂直跳び能力と膝関節トルク体重比における相関係数は、伸展60°/secにて0.682、350°/secにて0.835、屈曲60°/secにて0.715、350°/secにて0.669であり、すべて有意なものであった。片脚垂直跳び能力と脚伸展筋力体重比における相関係数は、膝関節屈曲角度90°で0.546と有意であったが、その他に有意な相関は認められなかった。【考察】垂直跳び能力と等速性膝関節トルクとは有意な相関がみられ、特に角速度350°/secにおける膝関節伸展トルクとは高い相関が認められた。Gauffinらは高速度の等速性膝関節トルクと跳躍能力に有意な相関関係があると報告しており、今回の研究も同様な結果が得られた。これは、垂直跳び動作では立ち上がり動作と異なり、運動速度の速さが求められるため、より速い運動速度のもとで測定した筋力との相関が高くなったものと考えられる。Blackburnは垂直跳び能力と等張性運動でのOKC・CKC筋力との関係を調べ、CKCのみと有意な相関があったとしている。今回我々はレッグプレスマシンを使用して脚伸展筋力を測定し、CKCでの筋力評価としたが、垂直跳び能力とは十分な相関が得られなかった。これは、今回の脚伸展筋力測定はCKCではあったが等尺性であり、実際の垂直跳びとは運動様式が異なっていたためと考えられた。これらの結果より、より動的な動作において指標となりうる筋力評価とするには、等速性運動とCKCの両方を兼ね備えておく必要があることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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