理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP374
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測定・評価
超音波画像による腹横筋の機能評価
*齋藤 昭彦樋口 善英新井 正一丸山 仁司
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抄録
【目的】腹壁は外腹斜筋,内腹斜筋,腹直筋,腹横筋の4筋から構成される.表在に位置する外腹斜筋,内腹斜筋,腹直筋はグローバル筋に分類され,力を発生することにより脊椎保護や脊椎運動に関与する.これらの筋では徒手筋力検査法や筋力測定機器による機能的評価が可能である.これに対して,腹横筋は深部に位置するローカル筋であり,グローバル筋とは分離した形で姿勢性に作用するためグローバル筋に用いられるような従来の筋力測定法では機能評価が行えない.そこで今回,超音波画像から非侵襲的に腹横筋の機能評価を試みることを目的とし,有用な知見を得たので報告する.【方法】健常成人50名(男性35名,女性15名,年齢:23.2±5.0歳,身長:168.8±7.9cm,体重:61.3±10.7kg)を対象とした.被験者を腹臥位とし,超音波診断装置(東芝社製SSA-220A)のプローブ(3.75MHz)を左腸骨稜上部に位置させ,外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の3層構造をイメージングした.口頭指示にて腹横筋の分離収縮を行わせたときの各筋の超音波イメージ(動画)をデジタルビデオに記録し,パーソナルコンピュータ(Macintosh)上で分析した.また,画像上の変化をNIH Image ver.1.62(U.S. National Institutes of Healthが開発.インターネットを介してhttp://rsb.info.nih.gov/nih-image/から入手できる)を用いて筋腹幅および筋断面積を計測した.【結果】記録された超音波画像上により,体表面から深部に向かって外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の3層構造を明確に捉えることが可能であり,各筋の作用を動画上の変化として捉えることが可能であった.外腹斜筋,内腹斜筋から分離した腹横筋の収縮は,外腹斜筋,内腹斜筋の形状変化を伴わない腹横筋の特異的な形状変化として捉えることが可能であった.典型例におけるNIH Imageによる腹横筋の筋腹幅と断面積はそれぞれ安静時3.8mm,収縮時5.4mm,安静時188.5mm2,収縮時276.8mm2であり,両者とも安静時に比較して収縮時に著明に増加した.【考察】腹横筋の機能評価の試みとして種々の方法が試みられている.比較的簡便な方法として,腹横筋作用時の体表面の変化を圧バイオフィードバック装置により圧変化として捉える方法があるが,この方法では他の筋による腹横筋機能の代償運動を捉えることが難しい.また,ワイヤー電極を使用したEMGによる侵襲的方法は,研究室レベルの機能評価であり臨床的かつ簡便な方法とはいえない.これに対して今回試みた方法は,外腹斜筋や内腹斜筋から分離した腹横筋の収縮を非侵襲的かつ動的に捉えることが可能であり,必要に応じて画像解析による定量的評価が可能である.【まとめ】超音波画像から非侵襲的に,腹横筋機能の機能評価が可能である.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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