理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP375
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測定・評価
前十字靭帯再建術後の超音波筋厚測定について
*田中 聡山田 英司森田 伸田仲 勝一乗松 尋道宮本 賢作真柴 賛五味 徳之
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抄録
【はじめに】前十字靭帯(以下ACL)再建術後のスポーツ復帰は,一般に大腿四頭筋筋力を指標とすることが多い。また筋萎縮の指標としてはメジャーによる大腿周径測定が一般的であるが,周径値は大腿四頭筋以外の皮下脂肪や骨,内転筋群,屈筋群の組織も含む結果となり,大腿四頭筋を構成する各筋別には評価することはできない。今回我々は,ACL再建術後の大腿部超音波画像を用いて大腿四頭筋の筋厚を測定し,その特徴と大腿周径,伸展筋力との関連性について検討したので報告する。【対象と方法】対象は,当院にてACL再建術を受けスポーツ活動を再開している女性4名,男性9名の13名とした。平均年齢28.5歳,平均身長166.4cm,平均体重65.2kg,手術から検査までの期間は平均37.5ヶ月(8ヶ月から8.2年)であった。術式は,全例半腱様筋腱・薄筋腱による再建術で術後同一のリハビリテーションプログラムを実施した。方法は,超音波での筋厚測定としてGE横河メディカル社製超音波測定装置LOGIQα100を使用し, Bモード,5MHzのプローブを用いて内側広筋(以下VM),大腿直筋(以下RF),中間広筋(以下VI)の筋厚を安静時と膝最大伸展位での最大等尺性収縮時で測定した。測定部位は内側広筋は膝蓋骨から4横指内上方,大腿直筋・中間広筋は上前腸骨棘と膝蓋骨上縁を結ぶ線の中点とした。大腿周径は膝蓋骨上縁より5cm,10cm,15cm上方で測定した。膝伸展筋力は,CYBEX社製CYBEX 770を使用し,角速度60・180・300deg/secでの等速性膝伸展運動を3回行わせ,ピークトルク(以下PT)を求めた。全ての検査は健患側ともに一人の検者が測定した。なお統計学的有意水準は5%とした。【結果及び考察】超音波筋厚測定の結果,VMは安静時健側27.2mm,患側22.4mm,収縮時健側36.8mm,患側32.3mmであった。以下同様にRFでは,安静時19.5mm,19.7mm,収縮時25.8mm,23.8mm,VIでは安静時17.8mm,15.5mm,収縮時23.2mm,21.4mmであった。RFの安静時以外は患側が有意に低値を示した。また大腿周径においても,全ての計測部位で有意に患側の萎縮を認めた。膝伸展PTも全ての角速度において患側が低値を示したが,健患比では,60deg/secが85.9%,180deg/secは84.8%,300deg/secは87.4%と我々のスポーツ復帰目標の80%は超えていた。そこで膝伸展PTと各筋の安静時及び収縮時の筋厚との相関関係を検討した。VM安静時とVI収縮時の超音波筋厚はPTとの間に全ての角速度において有意な相関を認めた。他に60deg/secでのPTと患側は収縮時VM,健側では収縮時VIの強い相関を認め,患側PTにおいて健側に比べVMの収縮が大きく関与していることが示唆された。超音波筋厚測定は,非侵襲で理学療法士でも簡便に使用できる有効な評価法であると考えられた。今後は動的に筋収縮を評価し,筋の形態と筋力についてより詳細に解析していきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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