抄録
【はじめに】当院の介護保険病棟では、要介護状態の方々が入院されており、リハビリテーション(以下、リハ)では患者の日常生活動作(以下、ADL)の自立度維持・改善を目的に行なっている。今回、リハ内容・効果をまとめたところ若干の知見を得たので報告する。 【対象】男性15名、女性36名。平均年齢83歳。主な傷病名は脳血管疾患、パーキンソン病、大腿骨頚部骨折等。要介護度は2ー3名、3ー6名、4ー27名、5ー15名。【方法】1.入院時ADL評価を行い3ヵ月後に再評価した。2.リハではADL改善・維持を目的に基本動作練習および運動療法を行なった。3.病棟におけるリハは、病棟職員との協業で実施し、歩行や車椅子で移動可能な患者は、食事は食堂まで行き整容は洗面所まで移動し実施した。基本動作能力に合わせて、排泄は病棟トイレ・ポータブルトイレ・尿器・オムツを用い、時間帯での能力も考慮し昼と夜とに分け、入浴は初回時および移動能力変化時に浴槽への入湯・シャワー浴等の評価および動作練習を行なった。 【結果】各患者の基本動作能力に合わせて、各要介護度別で主に実施した内容を示す。要介護度2:歩行を移動手段として用い浴槽への入湯・病棟トイレ(昼)やポータブルトイレ・尿器(夜)での排泄等を実施。要介護度3:移乗・ポータブルトイレ(昼)やオムツ(夜)での排泄等を実施。要介護度4:起居・移乗・更衣等を実施。要介護度5:身体清潔・安定した車椅子座位等を実施。再評価の結果、ADL維持ー39名、改善ー6名、悪化ー6名であった。【考察】介護保険病棟に入院している心身に障害がある高齢者の生活の質は、活動性が低下している状況からADLの維持が重要と考えられる。維持期のADLは加齢や疾病の再発との関わりが大きいが、殆どの患者で維持が図れた理由として、要介護状態に合わせて理学療法士および病棟職員との協業によるADLの各動作の実施および練習と、動作に支障をきたしている運動機能障害(拘縮・筋力低下・持久力低下・協調障害・疼痛)に対して運動療法を実施したことが挙げられる。今回の調査より、ADLの自立度および介護の手間は要介護度別で概ね同一の方向性があることが分かった。要介護度2・3・4では起居、移乗、移動、排泄(時間帯によって使用する場所と器具を考慮)、更衣、入浴等の全身的動作の維持を、要介護度5では寝たきりのため自力で動くことさえ困難な場合が多いので身体清潔や更衣の介助時に疼痛が少なく、車椅子離床時には安定した座位がとれることが必要と考えられた。又、要介護度が重度になる程、関節可動域エクササイズの重要性が大きくなることも示唆された。運動療法については、動作が容易にできるために筋力増強および持久力向上エクササイズ、動作時または介助される時に拘縮部位に伸張痛が出現しないために関節可動域エクササイズが効果的と考えられた。