理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: AO006
会議情報

主題(科学的根拠に基づく理学療法)
脳卒中のFull-time Integrated Treatment (FIT) program
-機能障害とADLの治療効果ついて-
*森 美香永井 将太園田 茂青木 哲也川北 美奈子才藤 栄一
著者情報
キーワード: FIT program, 脳卒中, 治療効果
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】我々は2000年12月より新しいリハビリテーション(以下,リハビリ)システム,FIT programを実施している.FIT programは,訓練室と病棟を同じフロアに配置し,医療情報をLANによりスタッフ間で共有するという高度に統合された環境下で毎日,そして一日中リハビリを行うシステムである.我々はこれまで,このFIT programが短期間でより大きなADLの改善を示すことを報告してきた.今回は,機能障害の治療成績を加えてFIT programの有効性を検討した.【対象】2000年12月から2002年3月までに入・退院し,FIT programの治療を受けた脳卒中片麻痺患者(以下,FIT群)を対象とした.また,FIT program開始以前に入・退院し,土日祝日を休みとした週5日の従来リハビリを受けた脳卒中片麻痺患者(以下,pre群)を対照群とした.両群間の患者特性を均一化するため,初回発作でテント上に一側性の病変を持ち,訓練に支障をきたす重篤な併存症の無い,入院時発症後期間(以下、発症後期間)が90日以内の患者とした.これらの条件に合うFIT群 121名,pre群101名にて比較,検討を行った. 評価項目は,機能障害評価としてStroke Impairment Assessment Set運動項目(以下,SIAS-M)を使用し,SIAS-M 5項目(上肢近位・手指・股・膝・足)とその合計点を測定した.ADL評価としてFunctional Independence Measure運動項目(以下,FIM-M)の合計点を測定した.【結果】年齢,性別,診断名,麻痺側,発症後期間は,両群間に有意差を認めなかった.平均在院日数はFIT群71.1日,pre群が80日であり,FIT群が有意に短かった. 入院時SIAS-M 5項目において,両群間で有意差は認められなかったものの,退院時のSIAS-M股と膝においてFIT群が有意に高値を示した.SIAS-M合計点は,入院時がFIT群11.3点,pre群10.2点,退院時がFIT群14.2点,pre群12.9点であり,入・退院時ともに両群間に有意差は認められなかった.FIM-M合計点は,入院時がFIT群55.1点,pre群57.1点,退院時がFIT群75.4点,pre群71.8点であり,退院時においてのみFIT群が有意に高値を示した. SIAS-MとFIM-M各々に対し,入・退院時の合計点を散布図にて視覚的に検討すると,SIAS-Mは両群ともに入院時得点に関わらず退院時に0点から11点の改善と広く散布したが,FIM-MはFIT群で退院時に満点近くに散布する天井効果の傾向が顕著であった.【考察】SIAS-Mを項目別に見ると股・膝においてFIT群で退院時に有意に高値を示したことから,高頻度の訓練は下肢近位の機能改善に効果的であると示唆された.合計点に関しては,SIAS-Mと比較し,FIM-MはFIT群にて天井効果の傾向が顕著であったことから,ADLに関してはより短期間でより大きな改善が得られており,FIT programは機能障害よりも,ADLにより効果的であると示唆された.
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top