理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP806
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測定・評価
表面筋電図による運動後の筋リラクゼーションの評価
肩甲帯および肩関節反復運動についての検討
*山本 洋司下野 俊哉国武 ひかり
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抄録
【はじめに】筋骨格系障害の一つである頚部疾患に対する評価には多くの方法が用いられているが、その中の一つとして表面筋電図がある。表面筋電図を用いた評価は、頚部周囲および肩甲帯筋の筋に対する筋活動異常を見つけ出すために用いられる。その分析は筋活動量、疲労、活動パターン、対称性、そして運動後のリラクゼーション等である。頚部疾患に対し表面筋電図を用いた論文は数多くみられるが、判定のための明瞭な基準は必ずしも明らかではない。今回我々は、運動後のリラクゼーションの特徴を知る目的で健常人の活動パターンを分析したので報告する。【対象】頚部、肩関節に愁訴のない健常男性7名(平均年齢25.3±5.3歳)を対象とした。【方法】体幹下垂位から開始した肩甲帯挙上と同じく肩関節90°までの屈曲、外転運動を行い、再び体側安静位に戻す動作を連続5回行わせ、そのときの筋活動を記録した。筋電図はNoraxon社製Myosystem1200とMyoVideoを同期させ使用し、両側僧帽筋上部線維と下部線維に電極を設置した。筋リラクゼーションの計測は運動開始前と運動後の平均振幅より行った。また、MyoVideoから屈曲と伸展、外転と内転、そして挙上と下制への運動転換が起きる時点と連続運動間の筋活動も比較検討した。【結果】運動前後の筋リラクゼーションの比較では、運動前安静時に比し、運動後は多くの条件で筋活動が高く維持される傾向を示した(94%から190%)。特にそのことは外転運動後に著明であった(135%から190%)。屈曲と肩甲帯挙上ではわずかに屈曲の方が筋活動の減少傾向示すが顕著な差を認めなかった。肩甲帯挙上、肩関節屈曲と外転時の運動転換点周辺では、それ以前に起こった高い筋活動の急激な低下を認め、その後次第に活動を低くしていくパターンを示した。その傾向はすべての運動の僧帽筋上部線維と屈曲、外転時の僧帽筋下部線維に見られ、おおよそ1/2から1/3程度への減少が認められた。肩甲帯挙上時の僧帽筋下部線維については運動を通じて特徴的な活動を示さず一定傾向であった。連続運動間での筋リラクゼーションは肩甲帯挙上時の僧帽筋上部線維で著明に認められたが、他では個人差が大きかった。また、これらの結果はわずかな差はあるものの左右差はほとんど認められなかった。【まとめ】今回、表面筋電図を用い肩甲帯および肩関節運動後の筋リラクゼーションについて検討し、いくらかの特徴的なパターンを確認することが可能であった。また、筋活動のリラクゼーションをとらえる有用な手段と考えられた。しかしながら筋リラクセーションを得るには運動の違いや個人差も存在することも再確認できた。よって表面筋電図にてリラクゼーションの有無を判断するにあたっては十分留意して行うことが必要と思われた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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