抄録
【はじめに】近年Evidence-based Medicine(以下EBM)の重要性が指摘され理学療法にもEBMが求められている。しかし基本的な理学療法の1つである筋力訓練において、実際臨床で個人の筋力に応じて適切に負荷量を設定する事は容易ではなく、主観的に設定されている事が多い。そこで松下電工と共同で、リアルタイムに発揮筋力の筋放電量を計測し、最大筋力で正規化した積分値(%積分値)が表示できる表面筋電計を開発した。今回その精度調査と本器機を使った筋力訓練の結果を症例を交えて報告する。【対象及び方法】精度調査:健常中高年者15肢の大腿直筋を対象に、川崎重工社製MYORETを用い、膝60度屈曲位での最大等尺性収縮時の発揮筋力と筋電値を計測し、その20-70%の範囲を10%間隔で筋力を発揮させ、筋力と積分値の相関関係を調べた。また既存の筋電計(NEC社製テレメータ サイナアクトMT11)にて同様の計測を行い、本器機との誤差調査を行った。 筋力訓練:症例1(69歳女性)症例2(49歳女性)の内側広筋を対象に、本器機を用い最大筋積分値の40%の積分量で2週間(週5日間)臥位にて等尺性筋力訓練(5秒間持続収縮×50回)を行い、2週間後に再び最大筋積分値を測定した。最大筋積分値は膝60度屈曲位で7秒間最大等尺性収縮させ、中5秒間の平均積分値で求め、訓練効果はその増加率にて算出した。【結果】精度調査では発揮筋力と積分値との相関係数は本器機はr=0.989と高い相関を示した。また既存のNEC社製テレメータの相関係数はr=0.980であり、本器機は同程度の精度である事が示された。 筋力訓練では、訓練前の最大筋積分値が症例1は33.72mVolt、症例2は28.51mVoltだったものが、筋力訓練後症例1は22.92%、症例2は11.79%の増加を認めた。【考察】精度調査の結果、本器機は筋力値と積分値とが高い相関示し、市販の筋電計と同程度の計測能力をもつ事が確認された。また本器機を使って定量的な負荷を与えた筋力訓練では、症例1・2共に筋力が増加を示した。本器機を使えば患者間に関係なく簡便に負荷量を定量化でき、筋力の標準化が可能になると考えられ、筋力訓練に対するEBM確立の一助になると思われる。