理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP814
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測定・評価
高齢者における歩行速度と等尺性膝伸展筋力の関連
性別ごとの検討
*大森 圭貢横山 仁志青木 詩子笠原 美千代平木 幸治山崎 裕司笹 益雄
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抄録
【はじめに】歩行速度は、歩行能力の一指標である。高齢者の歩行速度は、膝伸展筋力と密接な関連があり、一定の筋力を下回った場合、歩行速度の維持が困難になることが報告されている。しかしながら、これらの関係を性別ごとに検討した報告は少ない。同年代の男女では、男性に比べ女性の筋力は、低値に分布していることは明らかであり、性別によって歩行速度と膝伸展筋力の関係は異なる可能性が考えられる。今回我々は,高齢患者の歩行速度と膝伸展筋力の関係を男女別に検討した。【対象】対象者は、65歳以上の高齢患者188名で、男性110名、女性78名である。疾病の内訳は、呼吸器疾患133名、循環器疾患20名、消化器疾患8名、その他27名である。片麻痺や荷重関節痛などの運動器疾患や痴呆の合併がみられる者は対象から除外した。なお、対象者は、本測定の主旨に同意が得られた者とした。【方法】歩行速度は、室内10m最大歩行速度(m/sec)を測定した。測定は、ストップウォッチを用い、測定開始地点のラインを超えた踵接地から10m先の測定終了地点のラインを超えた踵接地までの時間を2回計測し、短い記録を採用した。等尺性膝伸展筋力は、アニマ社製ハンドヘルドダイナモメーターμ-TAS MT-1を用い、固定用ベルトを用いた等尺性膝伸展筋力測定方法に準じて実施した。測定肢位は、腰掛け座位とし、下腿下垂位での膝伸展を3秒間できるだけ強く行うよう指示をした。測定は、各脚2回行い、大きい値を採用した。そして左右脚の平均値を体重で除したものを百分率で表し、等尺性膝伸展筋力(%)とした。統計的手法は,対応のないt検定を用い、危険率5%未満を有意水準とした。また、歩行速度と等尺性膝伸展筋力を2次元の点図表として表示し、近似線を求めた。【結果および考察】歩行速度は、男性が1.55±0.34 m/s (0.83-2.55 m/s)、女性が1.27±0.38 m/s (0.41-1.96 m/s)と女性で有意に低かった(p<.001)。等尺性膝伸展筋力は、男性が45.9±15.4 %(7.4-87.5%)、女性が31.9±13.2 %(4.5-59.3%)と女性で有意に低かった(p<.001)。歩行速度と等尺性膝伸展筋力の関係をみた場合、膝伸展筋力が20%未満の者は男性4名、女性13名であった。このなかで歩行速度の測定ができた者は男性1名、女性1名と少なかった。筋力が20%以上では、男女とも筋力の増加に伴い、歩行速度も増加を示した。また、筋力が約35%以上の場合では、男女とも筋力の増加に伴って歩行速度の増加がみられた。しかし、その増加割合は筋力が35%未満の者に比べて小さかった。さらに筋力が60%付近を上回った場合にも、男性では同様の傾向がみられた。一方、女性では60%以上の筋力を有する者はなかった。これらのことから、高齢入院患者は、等尺性膝伸展筋力が一定の水準を下回った場合、性別に関わらず歩行動作は困難になることが確認できた。また、女性は等尺性膝伸展筋力が男性に比べて低い水準にとどまっており、等尺性膝伸展筋力が歩行速度に及ぼす影響が大きいことが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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