抄録
【はじめに】足アーチの評価方法には,足長に対する舟状骨粗面高の割合で表す足アーチ簡易測定法(アーチ高率)が一般に用いられるが,野田はfoot printをもとに接地足底面の状態からアーチ形成の程度を表す指標として,4段階に分類する野田式分類法を考案している。そこで,この両評価尺度による足アーチの評価と足趾および足関節筋力との関連性から足アーチ評価方法の妥当性を検討した。【対象と方法】健常女性62名(平均年齢21±1歳,平均身長159.0±5.8cm,平均体重53.2±7.2kg)の124足(常時使用する靴の平均サイズ24.0±0.7cm)を対象とした。まず,被検者をPedoscope(接地足底投影器)のガラス平板上に両下肢均等に体重負荷した自然立位をとらせ,投影画像をデジタルカメラで撮影した。その後,画像処理ソフトにて足長,足幅から足底矩形面積を求めた。さらに,接地足底面の面積(接地面積)を求め,足底矩形面積で除して足底面積比率(%)を算出した。アーチ高率(%)は,同肢位にて舟状骨粗面高を計測し,足長に対する割合で示した。足趾筋力は,既製のデジタル握力計を改良し,荷重位での足趾屈曲力を測定し,体重比とした(足趾筋力体重比)。また,ベッド上にて足関節の背屈筋力(背臥位)と底屈筋力(腹臥位)をDigital Dynamometerにて測定し, lever armを乗じてトルク値とし,さらに体重比とした(背屈トルク体重比,底屈トルク体重比)。統計処理には,Pearsonの積率相関係数による回帰分析および多重比較検定を用いた。【結果と考察】野田式分類では124足中,I型(扁平型)5足,II型(内側アーチ理想型)84足,III型(外側アーチ形成型)25足,IV型(足裏分離型)10足であった。接地面積および足底面積比率は,I型が最大,IV型が最小で統計的に有意であった。一方,アーチ高率は野田式分類の型による有意差はなく,接地面積および足底面積比率とアーチ高率との相関は,それぞれ0.015,0.043(いずれもns)で,両評価結果は全く異なる要因を反映する可能性が示唆された。筋力においては足趾筋力体重比と底屈トルク体重比は野田式分類の型による明確な差はなかったが,背屈トルク体重比はIV型がI型およびII型より有意に高かった。筋力とアーチ高率および足底面積比率との相関は,足趾筋力体重比でそれぞれ-0.249, -0.262(ともにp<0.01)で弱い負の相関, 背屈トルク体重比でそれぞれ-0.166(ns), -0.319(p<0.01), 底屈トルク体重比でそれぞれ-0.065(ns), -0.356(p<0.01)で足底面積比率とのみ弱い相関があった。また,BMIと各測定結果(実測筋力およびトルク値を使用)との相関は,アーチ高率0.169(ns), 接地面積0.571(p<0.01), 足底面積比率0.335 (p<0.01), 足趾筋力-0.165(ns), 背屈トルク-0.351(p<0.01), 底屈トルク-0.361(p<0.01)となり,foot printによる野田式分類の尺度は軟部組織を含めた体格(主に体重)に大きく影響される可能性が示唆された。今後,これら足部の機能的評価にperformance testによる運動能力面の評価を加え, 両評価尺度の妥当性の再検討が必要と思われた。