理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: OO491
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物理療法
運動直後の微弱電流治療が遅発性筋痛に与える影響
非温熱的超音波治療との比較
*中神 いづみ千葉 一雄河野 孝範吉田 幸史島 樹
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抄録
【はじめに】微弱電流治療は知覚レベル以下の微小電流を外部から与えることで、細胞レベルで組織を活性化させ、組織の修復を促進させる。中でも痛みに対して強い除痛効果があるとされているが、遅発性筋痛に対して微弱電流が与える影響についての報告は少ない。今回、運動直後の微弱電流治療が遅発性筋痛に与える影響について検討する。【対象と方法】健常男性21名(平均年齢20.8歳)の非利き手側の上腕二頭筋21例(左20例、右1例)を対象とした。遅発性筋痛の誘発にはBiodex System 3を使用し、設定は角速度30度/秒にて対象筋の遠心性最大随意収縮を10回×3セット行った。この運動直後、以下3群に分け治療を対象筋筋腹に15分間行った。微弱電流治療にはBIO KANAXを使用し、パッドとプローブを併用し、治療モードはMuscle Line・Arms・Upr.Armにて40μAの電流を通電した(以下M群)。超音波治療にはエスソニックSUS-700を使用し、周波数1MHz、強度0.8W/ cm2、20%パルスモードで治療を行った(以下U群)。対照群では安静背臥位とした(以下C群)。遅発性筋痛の程度は圧痛にて評価した。対象筋筋腹に、Musculator GT-5を設置し、2kgの圧力を確認しながら検者の母指で垂直に圧迫を加えた。このときの圧痛をVisual Analogue Scale(以下VAS)で評価した。遅発性筋痛の評価は運動直前・24時間後・48時間後に施行した。統計学的検定には、反復測定分散分析と多重比較検定を用いた。【結果と考察】徳富らは、運動直後の超音波治療が遅発性筋痛の軽減に有効である可能性を示唆している。今回の研究は徳富らとほぼ同じ方法で、微弱電流治療と超音波治療を比較する形で行ったが、すべての群において各評価時期についてVASに有意差は認められなかった。今回、M群・U群ともに治療時期を対象筋の遠心性最大随意収縮運動の直後としたが、遅発性筋痛では運動後ある程度の時間を経過してから痛みが増すとされる。このため、運動中に生じる筋や結合組織の微細構造の損傷後の炎症反応に伴う筋内圧の増加などの機械的刺激、筋温上昇による熱刺激、ブラジキニンなどの発痛物質による化学的刺激それぞれが対象筋内で影響を及ぼし始める前に、各治療が終了してしまっている可能性があり、M群・U群共に治療効果として表れなかったと考えられる。しかし、Lynn Wallaceは各種の障害による疼痛への効果を臨床的に調べ、微弱電流には強い除痛効果があることを報告している。徳富らの報告から考えても、遅発性筋痛に対して微弱電流と超音波が与える影響について、今後症例数を増やし、治療時期やその他の要因を考慮して検討する必要があると考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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