理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: OP617
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物理療法
トリガープロの治療効果について
*鈴木 清仁吉田 範子辻井 洋一郎
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抄録
【はじめに】電気治療器は疼痛などの治療に用いられ、特に筋由来の疼痛に対して適応されることが多い。それらの機種は多様であるが、今回、筋スパズムの解消、除痛を目的に開発された電気刺激装置「トリガープロ」(サカモト、TRP-M1)を使用し、実験を行った。この機器は生体の電気抵抗の変化に関係なく一定量の電流を生体に通電するため、その電流量が多くなる不変電流刺激による血管拡張作用を応用することを特徴とし、ハンディータイプで通電強度が3mA以上なら治療時間が極めて短いことも特徴であると言われている。このトリガープロによる痛みに対する治療効果を検証するため以下の実験を行ったので、その効果を報告する。【方法】対象は疼痛患者30名(男性12名、女性18名)、平均年齢は37.1歳(25歳_から_74歳)。被験者はランダムに10名ずつ、2つの実験群(A・B)と対照群の3つのグループに分けた。実験群に対しては疼痛部位に対して通電を行った。通電は疼痛部位に対して治療器のプローブを約2kgの力で押しあて、20箇所行った。通電強度は実験群Aで3mA_から_5mA、通電感覚が心地良いと感じる程度とし、1箇所5秒の通電を行った。実験群Bでは1.5mAで通電感覚が感じられない強度とし1箇所20秒と長くした。対照群はプラセボ群とし、無出力で実験群と同じ手順で行った。疼痛の評価は主観的評価として1)Visual Analogue Scale(以下VAS)、痛みの種類や性質として2)表面・深部の痛みか、3)筋収縮や筋の突っ張り感のある・なし、の3つを治療前・後に問診した。【結果】VASの平均値は、1)治療前・後の比較では3群ともに有意な低下が見られた(p<0.05)。また、実験群Bと対照群では「変化なし」がそれぞれ3名であったが、実験群Aでは全員が低下した。2)実験群A、B、対照群の3群間の比較では治療前・後ともに有意差は見られなかった。3)痛みの種類・性質の変化は9名に見られ、疼痛の全消失が1名(対照群)、筋の突っ張り感の消失が6名(実験群A3名、B1名、対照群2名)、表面・深部の変化が2名(実験群B)であった。【考察】今回の実験の結果、3群間では治療効果の大きな差は見られなかったが、3群とも有意に治療後のVASが低下し治療効果が得られた。また実験群Aの全員にVAS低下が見られたことより感覚レベルの刺激がより疼痛抑制機構を促通させることが示唆された。痛みの種類・性質の変化は筋突っ張り感の消失が一番多く、疼痛の原因に筋緊張が関与していることが示唆された。通電強度を感覚レベルまで引き上げて本治療器を使用することが疼痛抑制機構を促通するとともに治療時間を短縮させるものと考えられる。治療時間が限られているスポーツ現場や訪問サービス等でトリガープロは有効であると考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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