抄録
徒手筋力計を用いた圧痛の定量的評価の試み【目的】今回、圧痛の定量的な評価方法を検討するため、徒手筋力計(アニマ社製Hand Held Dynamometer;以下HHDとする)を用いてホットパック前後で圧痛がどのように変化するかを観察した。その結果、この方法の客観性と信頼性が示唆されたので報告する。【方法】1.被験筋は健常の34歳男性(検査日5日前マラソンに出場。両脚の主観的な疲労感は右>左で、簡便法による検査前膝伸展筋力は右37kg左45kgであった。よって便宜上右を「疲労筋」とした)の両側大腿直筋で、膝蓋骨上縁20cmを圧迫点とした。2.ゴルフボールを直接筋腹に当て、その上にHHDセンサーを乗せた状態から徐々に圧迫し、被験者が疼痛を訴えた時の値を採用した。3.測定は、ホットパック施行前(以下施行前とする)、施行直後、施行10分後、20分後、30分後に各10回行い、その平均値を評価値とした。4.各評価値の統計処理には分散分析を用い、5%未満をもって有意とした。【結果】施行前、直後、10分後、20分後、30分後の評価値(kg)は、右18.48、17.32、16.81、18.53、18.71、左20.01、15.99、18.98、19.43、19.76であった。施行前と比較し、右直後、10分後と左直後、10分後の評価値は有意に低下していた(P<0.05)。左右の比較では、施行前は左が有意に高く、右10分後と左直後で最も低値を示した。【考察】施行前の評価値より、疲労筋の方が弱い圧力で痛みを感じることが示唆された。ホットパック施行後に両側共評価値が低下した原因として、ホットパックによる温熱効果が表層の軟部組織を柔軟にし、弱い圧でも疼痛の原因である疲労筋や骨膜へ刺激が伝わったことが考えられる。今回の結果では疲労筋に対するホットパックの効果における明言はできなかったが、ホットパックにより何らかの影響を受けた筋や軟部組織の変化はHHDにより定量的に評価可能であることが示唆された。【まとめ】1.疲労筋の方が疼痛閾値が低い。2.HHDを用いて圧痛を定量的に評価できることが示唆された。