理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: OP743
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物理療法
直線偏光近赤外線照射による筋伸張性に対する効果
*竹内 伸行大澤 諭樹彦
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抄録
【はじめに】直線偏光近赤外線治療器SUPER LIZER(HA-550S、東京医研製、以下S.L.)は、臨床的に様々な目的で用いられている。しかしS.L.に関する報告は、星状神経節近傍照射や圧痛点への照射、褥創治療などのものが多く、筋伸張性に与える効果を述べたものはない。そこで今回S.L.照射による筋伸張性に対する効果を検討したので報告する。
【方法】対象は下肢に特記すべき疾患・障害の無い成人20名とし、照射(S)群10名(22.3±2.75歳)とコントロール(C)群10名(22.2±2.44歳)に分けた。尚、被験者は照射中の温感を感じていないため、どちらの群に属したのかわからないことは確認した。S.L.を下腿三頭筋の筋腱移行部に照射(又はダミー照射)し、照射前後及び照射15分(安静)後に足関節背屈角度(以下ROM)と伸張痛(10.0cm法Visual Analog Scale[VAS]による)を測定した。照射条件は照射2秒、休止3秒、出力80%、レンズユニットはDユニット、全照射時間15分間とした(タイマーは最大10分間のため、10分照射後直ちに5分間の照射を連続して行った)。被験者は足部プレートをフリーにしたTilt Table上に背臥位になり、腓骨頭・外果・第5中足骨骨底及び骨頭にマーキングし大腿前面遠位部をベルトで固定した。足底部に滑走面を合わせた2枚のトランスファーボードを挿入し摩擦を低減し、1度単位で測定可能な角度計にてROMを測定した。照射前のROM測定時に徒手筋力計(MASCULATOR GT-10、OG技研製)を用いて最終域の荷重量を計測し、照射直後及び安静後も同じ荷重量で測定した。統計処理は一元配置分散分析、多重比較検定(Sheffe's法)を用い、危険率は5%とした。
【結果】S群のROMは照射前20.2±3.88°、照射直後25.3±4.03°、安静後21.3±4.40°であった。照射前後の間に有意差がみられた。C群のROMは照射前23.2±3.65°、照射直後23.6±3.81°、安静後23.7±3.68°で各々の間に有意差はなかった。S群のVAS値は照射前6.5±1.41cm、照射直後4.9±1.20cm、安静後5.5±1.17cmであった。照射前後の間に有意差がみられた。C群は照射前6.9±1.84cm、照射直後5.7±1.99cm、安静後5.7±1.87cmでそれぞれの間に有意差はなかった。
【考察】S群の照射後ROMは有意に拡大した。この要因として、S.L.照射により筋繊維や腱が加温され粘弾性が増大し、下腿三頭筋の伸張性が増したことが考えられた。また、S群では伸張痛を示すVAS値が照射後に有意に低下したが、C群では有意差がみられなかった。S群では、下腿三頭筋の伸張性が増大しポリモーダル受容器や筋紡錘・ゴルジ腱器官への刺激そのものが減弱したことや、筋紡錘やゴルジ腱器官の伸展受容性が低下したことなどが考えられた。
本研究からS.L.は、筋伸張性向上及び筋の伸張痛緩和に対し有効であることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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