理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: OP744
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物理療法
直線偏光近赤外線治療法による局所血流の変化について
極超短波療法との比較
*石田 恵子荒木 靖岩本 貴宏桧高 里絵祢屋 俊昭中嶋 正明中 徹
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抄録
【はじめに】 直線偏光近赤外線治療器は直線偏光近赤外線(以下SL)を疼痛部位や星状神経節などにピンスポットで照射し、慢性疼痛などを緩和する治療機器である。演者らはこの機器の使用により、筋スパズムの緩和や血液循環の促進と思われる結果を得てきた。今回、SL照射が局所の血管の血流に与える影響を超音波診断装置を用いて評価し、極超短波(以下マイクロ)照射との比較検討を行った。【方法】 健常成人6名(男3名、女3名;23.8±0.6歳)を被験者とし、日を変えて室温25±1℃に保たれた室内で直線偏光近赤外線照射とマイクロ照射を行った。SLは直線偏光近赤外線治療器(スーパーライザー,東京医研)を使用し下腿後面に1ポイント4秒で3cm間隔に3分間照射された。マイクロは下腿後面全体に10分間照射された。対照として同環境下で各療法を加えない群も設定した。測定は、各療法を受ける直前、直後、15分後に右下肢の後脛骨動脈より分時血流量(FV)、一回血流量(SV)、最高血流速(Vp)、最低血流速(Vd)、血管断面積(CSA)、を超音波診断装置(日立メディコ EUB-6500)により行われた。各療法を受ける直前の測定値を100としてその後の値を変化指数に変換し、検討した。統計処理にはWilcoxonの順位和検定を用いた。【結果】  各指標の6名平均の変化指数はFV 、SV、 Vp、 Vd、 CSAの順で以下の様であった。療法直後はSLで134.3、131.5、129.4、127.4、100.0、マイクロは122.3、119.0、108.1、105.4、109.3であった。療法15分後はSLで108.3、108.7、106.1、112.7、100.0、マイクロは118.0、102.8、101.4、119.7、105.6であった。対照群での各指標の変化は10%以内にあった。療法直前と直後の比較ではSLでのFVとSVに直後での増加が有意であったが(p<0.05)、マイクロでは認められなかった。療法直後と15分後の比較ではSLでFV低下がみられた(p<0.05)がマイクロではFV低下はみられなかった。【考察】 療法直後の局所血流改善効果の点では、両療法とも直後では変化指数の上昇傾向が見られたが、SLでは有意な増加を認めた。SLは赤外線としての温熱作用を持つことの他に波長が0.6から1.6μmの限局された波長領域の光線であるためレーザー光線と同様の効果を有する。SLはこれらの効果によりピンポイントで、かつ短時間の照射でマイクロ療法を上回る短時間ではあるが局所血流促進効果を示した。一方、同効果の持続性の点ではマイクロが優れている可能性が示された。本研究から、SLは温熱刺激を最小限に、かつ少ない照射時間で局所血流を促進したい症例に対して適応である一方、マイクロは局所血流改善効果の持続性において優れていると推察された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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