抄録
【はじめに】玄関上がり框の段差昇降に介助を要する事が多い。その介助方法として(1)体を支え、手すりや補助ステップ台を利用して昇降を介助する方法(2)上がり框に一旦腰かけさせてから、昇り降りの動作を介助する方法がある。今回、甲州ケア・ホーム通所リハビリテーションにおいて、この何れかの介助方法で昇降を行っている利用者のうち、家族やスタッフの介助量が多い利用者をリストアップし、後述の介助方法でその軽減を図れないか検討したので報告する。【対象と方法】リストアップされた対象者は、上記の介助方法(1)10名,介助方法(2)2名の計12名の利用者であった。その内訳は、中枢性疾患5名、整形疾患7名、男性3名,女性9名、年齢は69才から95才 平均年齢85.5±6.6才、障害老人の自立度はA7名,B5名、痴呆老人の自立度は正常4名,I5名,II2名,III1名であった。上がり框の段差は、18cmから40cm 平均25.6±5.6cmで、補助ステップ台を使用していたのは、介助方法(1)の対象者6名であった。その上がり框の段差は、22cmから31cm 平均25.6±5.6cmであった。今回検討した介助方法は、幅52cm,奥行き32cm,高さが20cmと30cmの2種類の台を段ボール箱に新聞紙を詰めて作成し、その何れかを上がり框の段差上に置き、昇降時に利用者を一旦その台上に腰かけさせて、座ったまま90度または180度体の向きを変えて、昇りは両足を上がり框の段差上に降りは段差下に運び、腰かけた台より立ち上がり昇降を介助する方法であった。この方法で、介助量の軽減が図れるか実際にリストアップされた対象者で検討を行った。検討に際して、20cm台の重量が16kg,30cm台の重量が25kgと重く、今回は台の設置移動の労力は考慮せず、昇降動作における介助量のみで判断を行った。【結果と考察】対象者12名のうち、介助方法(1)の10名において、2名は見守りで行えた。6名は介助量が軽減した。残り2名は、玄関が狭く実施ができなかった。介助方法(2)の2名においては、2名とも介助量が軽減した。20cm台を使用したのは、上がり框の段差が40cmあった介助方法(2)の対象者1名のみで、他の対象者は30cm台が使用された。介助量を軽減できた理由として、上がり框の段差(平均25.6±5.6cm)+台の高さが、腰かけ易い高さであること。介助方法(1)(2)を行える対象者の運動能力として、座位バランスと台より立ち上がるためのある程度の下肢筋力があったこと。昇降時の動作が介助方法(1)(2)と比べて、簡単な動作で安定して行え、介助が楽であることなどが考えられる。 今回検討した介助方法は、玄関上がり框の段差昇降に有益な方法であると言える。しかし、台の軽量化とコンパクト化、高さ調節の考案など今後の課題は多い。