抄録
【はじめに】横浜市総合リハビリテーションセンターでは、在宅リハビリテーションの一環として、福祉保健センターなどと連携を図りながら改造や福祉機器の導入等に対する助言を行っている。平成11年には当センターが一体運営を行う3箇所の福祉機器支援センター(以下、機器センター)が開設され、住環境整備の相談がより具体的に展開されるようになった。機器センターには、段差解消機などの大型機器が実際に操作できるように設置されており、また、浴槽や便器の高さ、手すり位置、スペースなどを改造後の環境に設定して模擬体験できる浴室やトイレ、高さ変更可能な流し台、洗面台を設けている(以下、浴室などの評価設備と大型機器を体験コーナーと称す)。今回、住環境整備の相談のため体験コーナーを活用した人の特徴や体験コーナーの活用意義を調査したので報告する。【対象及び方法】対象は、平成14年4月から9月までの6ヶ月間にPT、OTが在宅訪問において住環境整備に関わり終了したケース324例のうち、機器センターに来所して体験コーナーを活用した症例45例である。対象の内訳は男性19例、女性26例、平均年齢65.7歳で、脳血管障害等の脳原性疾患が18例と最も多かった。方法は住環境整備に関わった回数、期間、体験コーナーの内訳、機器センターへの来所回数、来所方法、同行者の状況、来所目的や効果などをカルテより後方視的に抽出、検討した。【結果】住環境整備に関わった平均回数は3.7回、平均訪問期間は2.9ヶ月であった。このうち機器センターへの来所回数は1回が43例、2回が2例で、来所方法は自家用車利用が27例、タクシー利用12例、送迎サービス4例などであった。体験コーナーの内訳は浴室が26件、階段昇降機9件、段差解消機8件、トイレ5件、リフト3件などであった。全例生活動作を実際に行う本人または介助者が来所しており、このうち97.8%が改造プランを最終決定するキーパーソンでもあった。来所目的は、「本人・家族のみならず担当者も具体的な改造内容や改造後の行為自体の実効性が判断つかず評価するため」が35件、「機器設置などによりどの程度楽になるのかを本人・家族が確認するため」が14件、「担当者と本人、家族のプランが異なり、改造イメージやその環境での動作内容を確認し合うため」が4件で、在宅での体験・評価は困難であり、全例来所により目的を達成していた。【考察及びまとめ】横浜市における住環境整備の相談にあたり、機器センターの体験コーナーを利用した人を紹介した。この中で本人や介助者の能力判断に迷う場合や当事者と我々の改造イメージが異なる場合は、改造後により近い環境で体験を行い、評価指導していくことが有効だと思われた。また、機器センター利用には移動手段の確保が必要であるが、更にその場で我々と本人、家族が合意した改造プランを決定するためには、「実際に生活行為を行う対象者が来所すること」や「キーパーソンの同行」が重要だと思われた。