理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: PP167
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地域リハビリテーション
通所リハビリテーション終了者についての検討
*柿沼 保増山 あゆみ岡 智子
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抄録

【はじめに】介護保険による通所リハビリテーション(以下、「通所リハビリ」とする)サービスがはじまって3年目となり、利用者の中からサービス終了に至ったケースが出てきた。そこで通所リハビリ終了者についての検討を行なったので報告する。【対象と方法】平成12年4月開所から平成14年10月までの期間で通所している利用者の中で、平成13年11月より平成14年10月までの1年間に通所リハビリを終了した11名を対象とした。通所中の個別記録により年齢、性別、介護度、主たる疾患、通所期間、終了理由を調査した。【結果】平均年齢は68.7±9.1歳(54_から_82歳)。性別は男性7名・女性4名。介護度は開始時に要介護1が3名、要介護2が3名、要介護3が3名、要介護4が2名であった。また、終了時の介護度が開始時に比べ1段階重度化していた利用者が4名いた。主たる疾患は脳血管疾患が9名、変形性膝関節症が1名、進行性核上性麻痺が1名であった。通所期間は平均15±6.4ヵ月(3_から_22ヵ月)であった。終了理由は、1)病気の悪化、進行によるサービスの変更が6名、2)目標に達したことによる終了が3名、3)死亡が2名であった。【考察】1)病気の悪化、進行によりサービスが変更になった利用者は主たる疾患の他に糖尿病や痴呆などを呈していた。6名中3名が終了時には開始時に比べ介護度が重度化していた。変更内容はディサービス、訪問看護や訪問介護への移行であった。2)目標に達して終了になった利用者は54歳、81歳、82歳の3名であった。リハビリにより歩行能力に自信をつけるなどして、生活圏の拡大により地域の施設やサークルなどへ参加するようになった。介護度は3名とも開始時と変化がなかった。3)死亡した利用者は2名とも脳血管疾患があり、1名が54歳で再発作、もう1名が67歳で新たに罹患した悪性新生物が原因となった。介護度は開始時ともに要介護1であった。【まとめ】上記1)、3)について考えてみると主たる疾患の病状が安定していても在宅生活の長い利用者においては医学的管理が十分なされていないこともあり、糖尿病や痴呆などが進行してしまったり、他の病気の発見が遅れたりすることがある。通所リハビリでは対応できないこともあるため、主治医に対してはもちろんのこと、ケアマネジャーに対してもケアマネジメントの面での助言など関係機関との連携が重要であるといえる。また、2)については80歳代の2名が地域での生活に戻ることができた。高齢でも筋力トレーニングの効果などにより移動方法に自信をつけ、目標を持ってリハプログラムを進めていけば良い形で終了が迎えられることがわかった。今後は身体機能面、生活動作面からの検討も行ないたいと考える。

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