理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: PP734
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地域リハビリテーション
大腿骨頸部骨折の予防  
受傷前の生活様式より
*辻 和子氏家 芳彦小野 鳴美菅原 智子柳橋 きぬ子
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抄録
【はじめに】高齢者に多い大腿骨頸部骨折は転倒による受傷がほとんどであることは周知の通りである。リスクファクターとして骨粗鬆症があげられるが、高齢になってから薬剤や食事療法を行っても改善は難しいといわれている。転倒予防には筋力強化やバランス能力の向上があげられるが理学療法士として予防活動に努める必要性が増している。今回、骨折予防の指標として受傷前の生活様式について検討し、知見を得たので報告する。【対象と方法】平成14年1月から10月までに大腿骨頸部骨折を受傷し、理学療法を受けたもの14名(男性4名女性10名、平均年齢80.3±5.9歳) 、以下骨折群とする。対照群を町内(涌谷町9-3区)の健常者21名(男性3名女性18名、平均年齢70.6±7.1歳)、以下健常群とし、受傷前の寝具、トイレ様式について骨折群は患者からの聞き取り、健常群は質問紙法にて調査し、比較検討した。なお、統計処理はフィッシャーの直接確率計算法を使用した。【結果】1)骨折群と健常群では男女差は認められなかった(p=0.66)。 2)骨折群は受傷以前からベッドを使用しているものが多く、健常群では布団を使用しているものが多かった(p<0.001)。3)布団を使用している健常群19名のうち14名(74%)が布団の上げ下ろしもしていた。4)トイレ様式については骨折群、健常群で有意差は認められなかった。(p=0.20)【考察】転倒予防として日本古来の和風生活から洋式化へと変わる傾向が強い中、今回の結果は疑問を投げかける形となった。布団の使用はベッド使用にはない床からの立ち上がり動作を必要とし、床面が布団という不安定な場所での動作となる。さらに布団の上げ下ろしをしているものも多く、体幹筋も含めた筋力強化になっていると推察される。 トイレについては、和式トイレでは1日に何度も立ちしゃがみを行うことにより下肢筋力の維持・強化になるため健常群が多いと予測されたが有意差は認められなかった。これは当町では下水道が未整備のところもあり配管工事と同時に洋式便座に変える傾向があるためと推察され今後もこの傾向は強くなると思われた。 転倒の予防を目的に敷居、段差の解消や手すり、ノンスリップの取り付け等は必要と思われるが、「足腰を鍛える」意味では和風生活も否定されるものではないと思われる。しかし、腰痛や膝痛・脳血管障害等既往歴により洋風生活が望ましいこともあり一概には言えないが、洋式生活を行っている者こそ転倒予防のための運動は必要不可欠と思われた。 今後は、町全体で予防活動に取り組んでいけるよう対象者を増やして更に検討していきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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