理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: PP735
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地域リハビリテーション
地域在住高齢者に対する転倒予防教室の実施効果
*遠藤 文雄浅川 康吉高橋 龍太郎
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抄録
【目的】高齢期における転倒・骨折の予防事業は介護予防事業の一環として各地で行われている。しかし、その実施効果についてはさまざまな報告があり事業内容は試行錯誤の段階にあると思われる。本研究の目的は我々が実施した体操と講義を包括した形式の転倒予防教室についてその効果と意義を検討することである。【対象】G県O町の転倒予防教室の参加者41名を対象とした。男性18名、女性23名で平均年齢は71.0±5.7歳であった。全例とも日常生活動作は自立しており自覚的な健康状態はふつうまたは良好であった。【方法】転倒予防教室として3ヶ月間にわたり週2度の体操と月2度の講義を行い、その前後での日常生活活動および運動機能の変化をみた。体操は膝伸展動作や股関節外転動作などを主とする4種目をそれぞれ8回を1セットとして1度につき3セット行った。講義は体操の方法と転倒予防のための日常生活上の注意点について系統的に行った。日常生活活動の評価は老研式活動能力指標(13点満点)と転倒効力感(40点満点)について行った。運動機能については膝90度屈曲位での最大等尺性膝伸展筋力の体重比(%)(以下、膝伸展筋力)、握力(kg)、ファンクショナルリーチ(cm)、開眼片脚起立時間(秒)、11m直線歩行路の速歩歩行における中央5m部分の所要時間(秒)(以下、歩行速度)を評価した。統計学的検定には対応のあるt検定またはWilcoxonの符号付順位検定を用い、有意水準は5%未満とした。【結果】転倒予防教室の実施前における老研式活動能力指標は11.9±1.4点、転倒効力感は37.4±3.3点であった。運動機能に関する各測定項目は膝伸展筋力が48.7±16.3%、握力が28.3±6.7kg、ファンクショナルリーチが38.4±7.6cm、開眼片脚起立時間が52.9±40.0秒、歩行速度が2.7±0.5秒であった。実施後に有意な変化をみたのは老研式活動能力指標と転倒効力感でそれぞれ12.3±1.1点、39.2±1.5点に上昇した。体力では膝伸展筋力と開眼片脚起立時間に有意な変化を認め、それぞれ54.5±15.9%、65.7±42.0秒に改善した。握力、ファンクショナルリーチ、歩行速度は有意な変化を認めなかった。【考察】体操と講義を組み合わせた転倒予防教室の実施により、日常活動能力や転倒効力感が向上することが示唆された。また、運動機能に関しても転倒と関連が深いとされる膝伸展筋力や開眼片脚起立時間が改善することが示唆された。地域在住高齢者に対するこのような転倒予防教室の実施は日常生活活動の水準をより高め、転びにくい身体づくりを行うという観点から意義があると考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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