理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP296
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運動・神経生理
歩行時の荷重変化が足底筋からヒラメ筋への短潜時抑制に及ぼす影響
*小林 賢東海林 淳一田中 直次郎牛場 潤一高橋 友理子正門 由久千野 直一
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抄録
【はじめに】我々は、ヒトの足底筋からヒラメ筋への短潜時抑制が歩行時立脚相に減少することを報告した。今回は、この短潜時抑制と歩行時の荷重量との関係を明確にするため、トレッドミルにおいて免荷条件で歩行を行った。【対象及び方法】対象は健常成人5名とした。方法は、はじめに座位にて右膝関節軽度屈曲位、足関節中間位で固定し、足関節底屈を数段階の収縮強度で持続的に行わせ、足底神経刺激をトリガーにして同側ヒラメ筋表面筋電図の整流・加算平均を行った。なお、刺激強度は短母趾屈筋のM波閾値の1.2倍(1.2×MT)とした。 次にトレッドミル歩行を時速4km/hにて、免荷0%、30%、60%の3条件で、踵接地をトリガーにして踵接地直後の0msecから100msec間隔で500msecまでの立脚相の時間で、1.2×MTの刺激強度で足底神経刺激を行い、同側ヒラメ筋表面筋電図を整流・加算平均した。測定後に座位のデータよりヒラメ筋筋電図と短潜時抑制量の関係式を算出した。この式より歩行時のヒラメ筋筋電図から短潜時抑制量の予測値を算出し、歩行時の実測値と比較した。【結果】全被検者で座位において足底神経刺激後50msec前後にヒラメ筋活動の抑制が出現し、この抑制量はヒラメ筋活動と比例していた。歩行時もすべての免荷条件において、同潜時でヒラメ筋活動の抑制が認められたが、座位からの予測値に対し実測値は低値を示した。しかしながら、免荷60%では予測値とほぼ同様であった。【考察】前回の報告と同様に、ヒトの足底筋からヒラメ筋への短潜時抑制は歩行時に減少していた。本研究より、免荷量の増加に伴い、ヒラメ筋活動の抑制が予測値に近似したことから、歩行時には荷重量の変化が短潜時抑制の変化に関与していることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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