抄録
【はじめに】パワーリハビリテーション(以下PR)は主に要支援、要介護者を対象にマシントレーニングによる動作性能力の改善と、活動的な生活への行動変容を目的とした事業である。当院におけるPR事業の結果のうち、日常生活に関連する事項と、主観的健康観に関するQOLについてその前後差と関連性について検討したので報告する。【対象】対象はPRに参加した16名。男性10名(年齢21から93歳,平均72歳)、女性6名(年齢62から90歳,平均79歳)。介護保険未申請者5名、要支援3名、要介護度1が4名、要介護度2から5が各1名である。各対象は開始前に体力測定、および各評価後、週2回の頻度で約3ヶ月のマシントレーニングを施行した。【方法】各対象にPR開始前後で、要介護度、活動自立度、行動自立度、BI、移動能力、主観的健康観に関するQOLの聴取を行った。主観的健康観に関するQOLにはEuro-QOL(EQ-5D)を用いた。PR前後での、各項目の比較検討(wilcoxon's-test,p<0.05)と、各項目の変化間の関連を検討した(speaman's ρp<0.05,SPSS for Windows 10.0)。【結果】PRの前後比較においては、行動自立度、屋外移動能力、BI、QOLに有意な改善を、活動自立度において改善傾向をみとめた。各変化間の関連においては、年齢が若いほどBIが改善。屋内移動の改善とBIの改善間、要介護度の改善とQOL得点(特に身の回りの管理について)の改善間、活動自立度の改善と行動自立度とBI(特に食事、排泄)の改善間、行動自立度の改善とQOL(移動の程度について)の改善間には有意な相関を認めた。【考察】PRを施行することにより、屋外移動能力、日常生活動作の改善と、主観的健康観に関するQOLが改善したと示唆される。各変化間の検討により、BIの改善には屋内移動の改善が寄与していると考えられた。BIにおいては特に食事、排泄が改善しているが、これらが改善することにより活動自立度は改善し、また行動自立度の改善にも関連していると思われた。行動自立度が改善することはQOL(移動の程度について)の改善に関与し、要介護度が改善することにより、主観的健康観に関するQOL、特に身の回りの管理に関するQOLが改善していると示唆された。木原らは健康状況に関する自己評価と生活習慣との関連とともに、健康によいと思われることを実行できない場合に主観的健康観が悪くなると報告しているが、PRを施行することにより、健康的な生活習慣を得たことと、移動能力、BI、活動自立度、行動自立度が改善したことが主観的健康観に関するQOLを高めたと思われた。