理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QO480
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調査・統計
脳卒中後遺症者の長期外来リハの意義についての一考察
*田尻 和行須藤 睦子新海 由美子石川 健太
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キーワード: 外来リハ, 役割, 理学療法
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抄録
【目的】役割理論では、「社会は役割を通して人々の行動を規制し、人は役割を演じることによって社会を構成・変容させる」とある。役割を演じることが活動のモチベーションとなり、生活の連続性や発展性に繋がると考えられる。筆者は、長期外来リハの経験から、脳卒中後遺症者が病前の役割を断念し、新しい役割を模索している姿を見てきた。そのチャレンジ精神を支えているのが所属社会の存在であるが、身体機能も重要な要因と考えられる。本研究では長期にわたり外来リハをおこなっている脳卒中後遺症者(6名)の役割と理学療法内容等を調査し、長期外来リハの意義について検討した。【対象と方法】対象は、当院外来リハに10年以上通院している脳卒中後遺症者6名(自立群3名、要介助群3名)。方法は、本人及び家族と担当セラピストへの聞き取り調査及びカルテ調査。調査内容は、主に役割の変化と再獲得の過程、リハ目的、理学療法内容。ここでの役割とは主に家庭及び地域社会での役割とした。【結果】自立群ケース1、2は病前の主婦に配偶者の協力の下で復帰し、活動を地域社会に拡大した。ケース3は病前の会社経営を断念し、妻と役割を交換し、家族及び兄弟関係の中での役割を演じている。リハ目的は動きやすくなるから、動き方のアドバイスを受けるためだった。理学療法内容は、代償性や異常発達、環境要因等が身体活動に影響を及ぼすことについて一緒に考え、生活の工夫や身体活動の応用に継げることである。要介助群のケース1は定年退職後の発症で、役割は病後も同じ家庭中心であるが家族が規制した役割を演じている。ケース2は病前の会社経営を断念し、家庭での精神的な位置づけでの夫の役割を演じている。ケース3は病前の主婦復帰を断念し、家族が規制した役割を演じ家族の要的存在となっている。リハ目的は体が軽くなるから、機能維持、家族では動かせないからであった。理学療法内容は身体の運動性を経験することと、家族援助であった。【考察】脳卒中後遺症者は家庭復帰した時から新しい役割の再編に直面する。その過程では家族を含めた大変な葛藤があったと思われる。自立群にとっては対象者のニードと理学療法内容の一致が活動を支え、同時に役割作りや維持に貢献していると考えられた。また、要介助群においては通院すること自体が対象者を中心とした家族を意識・構成するための行事となり、対象者の役割作りに貢献していると思われた。外来リハの意義として、外出の機会、生活のリズム作り、身体機能の改善等が挙げられているが、さらに長期外来リハでは、役割作りの援助と維持に身体機能面からかかわることに意味があると考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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