理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QO479
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当院における血液内科疾患の理学療法に関する一考察
*塩見 典子斉藤 秀之田中 利和小関 迪
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抄録
【はじめに】当院において最近数年間、内科・外科・心臓血管外科・血液内科など様々な診療科から多岐にわたる疾患に対する理学療法の依頼が増えてきている。その中でも血液内科疾患においては、全身状態の日々の変化も著しく、生命の危険が大きい場合も少なくない。理学療法を行う上でも、十分な病状の把握が必要であり、生命予後等も含めて対応に苦慮することが多い。そこで今回、当院理学療法部門における血液内科疾患の傾向を検討したので報告する。【理学療法部門における血液内科疾患の傾向】2001年5月1日から2002年10月31日の間に理学療法を施行され、退院に至った血液内科疾患の18例(平均年齢69.4±13.4歳、男性7名、女性11名)を対象とした。診断名内訳は悪性リンパ腫4例、急性骨髄性白血病4例、多発性骨髄腫4例、急性リンパ性白血病2例、その他4例であった。これらの症例は入院中もしくは入院以前外来にて化学療法等の治療を受けているものが多く、理学療法開始時その半数以上が自力歩行困難であった。理学療法の依頼は筋力改善・向上やADL改善を目的とした内容が多数を占めていた。退院時転帰では、14例が何らかの形で歩行獲得し、そのうち13例は自宅退院を果たしたが、4例は死亡に至った。そこで歩行獲得に至った予後良好群(14例)と中止・死亡となった予後不良群(4例)に分類し比較した。予後良好群において初期FIM値は高値を示しており、入院前ADLが予後不良群に比べ良好な傾向を示した。また予後不良群の中でも初期FIM値が高値である症例もあり、全身状態の急変や病状の悪化が影響した典型例であるものと推測された。【考察】血液内科疾患では、原疾患自体によるもの、廃用症候群、治療等の複合的な悪影響により、運動制限や体力消耗などがADL低下の問題となっている症例が多い。そこでこれらの疾患に対する理学療法では機能障害にとらわれるのではなく、現在患者が抱えている基本動作や自宅退院に向けた能力障害に対するアプローチが重要であると考えられる。なお、疾患の特徴として全身状態・症状の変動が突発的に発生し得る状況にある為、主治医と十分に連絡を取り、疾患の状態や今後の治療・基本方針、リスクについて正確に把握して、理学療法を施行する重要性が示唆される。当院の傾向から、治療が一段落し基本動作や歩行が獲得されていると早期に自宅退院する可能性が予測される。また逆にこうした疾患に関しては、一時的であってもできる限り早い退院計画が立てられることが多く、基本動作指導、家屋環境を考慮した移動方法の検討など、より早期から最良のADLを保てるよう理学療法士としても積極的に関与していく必要があると考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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