理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QO482
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調査・統計
病棟でのPTの役割
転倒からの一考察
*多田 祥之栗原 芳久野村 真季子吉国 貴子
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抄録
【はじめに】当院は回復期リハビリテーション病棟(H13.9より開始:現在45床、PT4名、OT3名)を有するリハビリテーション病院であり、病棟では積極的な離床活動を行っている。しかし、それゆえに離床活動に伴う転倒事故というリスクを無視することはできない。今回、過去3年間の転倒事故を調査し今後のアプローチについて検討したので報告する。 【方法】当院入院中の患者における過去3年間(H11.9からH14.8)の事故報告書をもとに転倒事故の件数、場所、原因となった動作、時間と転倒者のレベル(障害自立度・痴呆自立度)を調査した。 【結果】総転倒件数388件(166人)。場所:病室、デイルーム、トイレの順で多い。動作:移乗、立ち上がり、座位の順で多い。転倒者レベル:障害自立度A、Bの順で多く、障害自立度II、IIIの順で多い。 【考察】当院では、回復期リハビリテーション病棟開始当初から、主たる生活の場である病棟でのADL能力を向上させることが、在宅生活へ繋げるためにより効率的であると考えアプローチを行ってきた。具体的な取り組みとしては、体操・グループでの筋力トレーニング・レクリエーション・サークル活動等といった活動の場を提供し対象者が主体的に参加できるよう促すことで、日中起きて過ごすという習慣づくり(離床活動)を行っている。しかし対象者が主体的な生活を送るなかで、移動動作に伴う転倒の可能性は否定できない。今回の調査からも転倒の多くは対象者が何らかの活動に参加しようとした際に生じたものであると推察される。それによる対策として、当院ではPT・OT・病棟スタッフ(Ns・CW)による合同ミーティングを行っている。情報を共有し、対象者一人一人の現時点での身体機能や転倒の危険性等についての共通認識をもつことで、日常生活の多くの場面においてタイムリーに関わる事が可能となる。さらにPT・OTによる起居・移乗動作へのアプローチやマシンを使用したトレーニングを行うことで、対象者の下肢・体幹筋力の増強、バランス能力の改善およびそれに伴うADL能力の向上を図る。このように身体機能の向上のみならず、対象者を取り巻く環境の整備を考慮した包括的なアプローチを行うことが重要であると考える。 【まとめ】転倒は対象者に身体的な危険性をもたらすだけでなく、精神的にも大きなダメージを与える。そのため、現在当院では対象者の主体性を尊重したうえで、一人一人に対する病院全体でのチームアプローチを実行している。更に、今後の課題として、対象者がより安全かつ有意義な病棟生活を送れるような対策を検討中である。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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